(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年3月4日付)

リオ五輪会場を満喫、思い思いに過ごす人々

リオデジャネイロ五輪用に建設されたホワイトウォーター・スタジアムで、楽しいひとときを過ごす人々(2016年2月28日撮影)。(c)AFP/YASUYOSHI CHIBA 〔AFPBB News

 中南米最大の経済大国ブラジルが過去1世紀以上で最悪の不況に苦しんでいる。その様子を伝える破壊的な見出しに慣れた訪問者は、大都市に行けば、食料を求める行列が道路まで延びているのを見かけると思うかもしれない。

 しかし先日、サンパウロの大通りの1つ、パウリスタ通りで見られた一番長い列は、米国のアイスクリームチェーン「ベン&ジェリーズ」が新規オープンした店の商品を味わおうとするアイス好きの人々の行列だった。

 「経済活動はずいぶん落ち込みました」と言うのは、銀行に勤めるマリア・ローラ・マルティネスさん。アイスを1つ14レアル(約4ドル)で買うために、同僚と一緒に列に並んでいた。

 「けれど、企業が何か新しいものを立ち上げ、この店やほかの高級アイスクリーム店が地元にできたりしたら、そうした商品はまだ流行しますよ」

 数年前には新興国のリーダーだったブラジル経済は著しく悪化し、ホラーショーと化している。景気は急降下しており、ブラジルの国内総生産(GDP)は2015年に3.8%縮小、今年もさらに約3%の縮小が見込まれている。

 政府は無力で、財政刺激策を使って経済縮小を食い止めることができない。財政赤字が世界最大の部類に入るGDP比10%前後まで膨れ上がったからだ。一方、ブラジルの通貨レアルは1年間で米ドルに対して約30%下落した。

 「外国人はここに来て、私に言うんですよ。『一体全体なぜこの国は爆発していないのか』ってね」。サンパウロの外資系企業に勤めるヘッジファンド運用担当者はこう話す。

高い土台からの低下

 だが、ベネズエラのように品不足の輸入トイレットペーパーを買うために列に並ぶ代わりに、ブラジル人は輸入高級アイスクリームを買うために列を作っている。まだ活気にあふれている空港やスーパーでも、同じ状況が見て取れる。

 例えば、日曜の夜遅くにサンパウロの大型ホームセンターを訪れると、買い物客がレジに大行列を作っていた。客のショッピングカートは電動工具やペンキなどさまざまな商品でいっぱいだ。