HAL医療用(下肢タイプ)を装着した様子。Prof. Sankai, University of Tsukuba / CYBERDYNE Inc.

 300を超える政府系や民間の研究機関、事業者が集結する筑波研究学園都市。知的生産の一大集積地として、産学連携の期待が高まる場所だ。だが、せっかく大学や研究機関で将来性のある技術シーズが誕生していても、社会や市場における商品化イメージとビジネスモデルが十分に描けずに、埋もれてしまうケースは多い。

 そこで、企業やベンチャーキャピタル、投資家に対し訴求力のある価値提案を行い、「産学官金」共通のプラットホームをつくばの地に構築しようという新たな試みがある。

 昨年11月、筑波大学東京キャンパスでは「つくばプロモーションイベント Future ROBOTICS Forum」が行われた。200人を収容するトークセッションの会場は、座席が全て埋まるほどの盛況ぶりだった。

 イベントを主催した文科省の科学技術・学術政策局 川上伸昭局長は、「よくある研究発表会でも、単なる広報活動でもない。企業や投資家とビジネスを作り上げるための提案をしていくことが目的」であると語り、従来のシンポジウムの概念を超えることに意気込みを示した。

世界から注目される筑波大発イノベーション

 基調講演では、筑波大学大学院教授であり、CYBERDYNE(サイバーダイン)代表取締役社長/CEOの山海嘉之氏が「革新的サイバニックシステムによる未来開拓最前線~ソーシャルイノベーションと新産業創出」と題して、最前線情報を含むこれまでの歩みを紹介。

「つくばプロモーションイベント Future ROBOTICS Forum」で講演する山海嘉之氏(2015年11月27日)

 サイバーダイン社の「ロボットスーツHAL」は、山海氏が開発した動作原理を搭載する世界初のサイボーグ型ロボットだ。

 最近では、2015年11月25日にHAL医療用(下肢タイプ)が厚労省より新医療機器として薬事承認され、1月27日には進行性の神経筋難病疾患を対象とした進行抑制治療処置に対して保険適用が決定した。