(2016年2月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

北朝鮮レストランの利用自粛を=核開発への資金転用懸念-韓国

北朝鮮との国境に近い中国・丹東の北朝鮮レストランに立っているウエートレス〔AFPBB News

 韓国政府は、北朝鮮への資金流入を妨害する活動を食の分野に拡大した。北朝鮮政府の外貨獲得に寄与しているアジア各地のレストランの利用を避けるよう韓国市民に呼びかけたのだ。

 韓国外務省は17日、この要請の狙いは「北朝鮮への外貨流入をより徹底的に阻止する」ことにあると述べた。

 「(北朝鮮は)ハードカレンシーを核兵器やミサイルの開発に用いる懸念がある」からだという。

 北朝鮮は2月7日、国連の制裁を無視し、弾道ミサイル技術を使って人工衛星を打ち上げた。その1カ月前には、同国史上4回目の核実験も行っている。この衛星の打ち上げ以降、韓国は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)体制に対し、いつになく攻撃的なスタンスを取っている。

各地にある北朝鮮系レストラン、顧客の大半は韓国の観光客や出張者

 韓国政府は先週、北朝鮮との国境の10キロ北にある開城(ケソン)工業団地の操業を中断した。2004年に開設されたこの工業地帯では北朝鮮の労働者が韓国企業に雇用されているが、韓国側による操業中断は初めてだ。韓国政府は、従業員の賃金が北朝鮮政府に直接支払われていることに言及し、この事業は北朝鮮の核開発プログラムの資金源になっていたと語った。

 北朝鮮が外国に展開するレストランに締め付けの対象を広げることで、韓国政府はますます際立つ北朝鮮の外貨獲得手段に照準を定めたことになる。複数の調査結果によれば、レストランの客の大部分は、韓国人の観光客や出張者が占めている。

 韓国の西江大学の金宰春(キム・ジェチュン)教授には、北朝鮮への資金の流れを断ち切ろうと精力的なアプローチを取っている韓国政府が、お手本を示そうとしているように見えるという。韓国は、国連安全保障理事会でより厳しい制裁を北朝鮮に科すよう中国などの国々に働きかけているからだ。

 雑誌「週刊朝鮮」が報じたところによれば、北朝鮮系のレストランは昨年末時点で12カ国に129店展開されている。また北朝鮮戦略センター(NKSC)という非営利団体によれば、レストランの大半は中国にあり、そのオーナーには平壌市政府や文化・スポーツ省といった政府機関が名を連ねている。中国以外ではウランバートル、ドバイ、モスクワにもある。

 提供しているのは伝統的な朝鮮料理で、メニューには餅や犬鍋もある。店内では、そろいの制服を身にまとった若い女性たちが働いている。