(英エコノミスト誌 2016年2月6日号)

長期金利が初のマイナス、東京債券市場

上空から撮影した日銀本店〔AFPBB News

マイナス金利クラブは拡大している。だが、金利が下がり得る水準には限界がある。

 こんな世界を想像してみてほしい。税務署が速やかに税務申告する人たちを苦しめる。大手スーパーのチェーンが、商品が棚から飛ぶように売れた数カ月後ではなく、売れる前に仕入先に代金を支払う。ジムの前払いの年会費の方が毎月会費を支払うより高い――。それは非現実的に思えるし、馬鹿らしくさえ思える。だが、このような世界が現実に一歩近づいた。1月29日に、日本の中央銀行が当座預金の金利をマイナス0.1%に引き下げた時のことだ。

 デンマーク、ユーロ圏、スウェーデン、スイスの中央銀行と同様、日銀は市中銀行が日銀に資金を預けるのに手数料を課す。

 現在、世界の国内総生産(GDP)のほぼ4分の1が、金利がマイナスの国から生まれている。マイナス金利は慣習を破っているが、中央銀行に有益な追加手段を与えている。

 中央銀行が設定する最低預金金利は、金融市場における短期金利および借入金利全般の下限として機能する。欧州全域で借入コストが急低下しており、それがデフレとの戦いを助け、為替レートを押し下げている。

 それに勇気づけられた黒田東彦・日銀総裁は先日、金融政策の緩和策には限界がないと断言した。少なくとも金利に関しては、これは誤りだ。下限はもはやゼロではないかもしれないが、それでもやはり存在する。

段階金利では不十分

 しばらく前までは、金利がゼロを下回れば、銀行と預金者は単に現金に乗り換えると広く考えられていた。現金は利息を生まないが、利子が課されることもないからだ。

 だが、優に1年以上にわたって金利がマイナスになっている欧州では、預金量が安定している。商業銀行にとって、電子的な預金に課される少額の利子は、現金の山を安全に保管するコストに比べれば耐えられるということ、そして個人の預金者に転嫁しようとするほどの大きな負担ではないことが分かった。