(2016年2月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

文化の違いは栽培する穀物が影響?研究

中国では遺伝子組み換え(GM)作物が禁止されているが・・・〔AFPBB News

 中国の国有化学企業、中国化工集団(ケムチャイナ)がスイスの農薬大手シンジェンタに提示した430億ドルの買収金額について最も注目されるのは、中国企業による海外企業買収計画で過去最大であることだ。中国化工が昨年、イタリアのタイヤメーカー、ピレリを買収した際の金額の5倍以上にのぼる規模だ。

 だが、中国化工は大胆に海外進出する一方で、国内市場を強く意識しながら、そうしている。

肥料と農薬から多角化図る

 中国化工はいわばタコのような組織で、化学品から石油精製、タイヤに至るまで幅広い事業部門を持つ。同社のアグリビジネス部門は、肥料と農薬の主要生産者だ。そしてこの2つは、中国政府が抑制したいと思っている環境に優しくない製品カテゴリーだ。

 中国農業省は昨年12月、2020年までに肥料と農薬の消費の伸びを止めたいと発表した。「基本的に(肥料と農薬の)市場の伸びがゼロになるだろう」。台湾に本拠を構える調査会社ChinaAgのローレン・プエット氏はこう言う。「中国化工はアグリビジネスのポートフォリオを多角化する方法を探している」。

 中国化工に欠けているのは種子で、その意味ではシンジェンタは申し分ない買収先だ。シンジェンタは遺伝子組み換え(GM)作物の4大生産業者の1つで、7000種類近い種子を持つ。

 「最終的に中国化工は、現在持っていないGM種子の特許を利用できるようになるだろう」とプエット氏は言う。

 また、中核の化学事業から多角化を図ろうとする同様の願望が、中国化工によるピレリ買収を推し進める要因にもなっていた。ピレリ買収によって、精彩を欠いていたタイヤ部門に魅力的なブランドが加わった。

 長年中国化工を観察してきたある業界幹部は言う。「彼らがピレリを買ったのは、川下方向にシフトし、化学品から遠ざかるためだ」。