(英エコノミスト誌 2016年1月30日号)

ムハンマド・ブハリ大統領は30年前に独裁者として犯した経済的な過ちを繰り返している。

ブハリ新大統領就任、「課題に立ち向かう」 ナイジェリア

原油価格については、ことごとく運の悪いムハンマド・ブハリ大統領〔AFPBB News

 「幸運な将軍を我に与えよ」。ナポレオンは有能な将軍よりも幸運な将軍を好み、こう言ったとされている。元将軍のムハンマド・ブハリ大統領は、こと原油価格に関しては、あまり運に恵まれなかった。

 1983年から1985年にかけて、ブハリ氏はナイジェリアの軍事政権の指導者だった。政権を奪取する直前、原油価格は長期にわたる急落を開始した。

 ナイジェリアの輸出収入は半分以下に落ち込んだ。経済は深刻な不況に陥り、難局に対処できなかったブハリ氏はクーデターで倒された。

原油急落で急激に冷え込む経済

 ブハリ氏は今、再び大統領になっている(昨年公正な選挙で、ひどくお粗末な対抗馬に勝利した。本誌=英エコノミスト=はブハリ氏を支持した)。そして今再び原油価格は急落しており、ブハリ氏が宣誓就任した日の1バレル64ドルから、8カ月後の32ドルに落ち込んだ。2015年の経済成長率は恐らく半減し、6.3%からギリギリ3%強まで低下した模様だ。

 石油は、政府の歳入の70%、輸出収入の95%を占めている。財政赤字の対国内総生産(GDP)比は今年、3.5%程度まで拡大するだろう。通貨ナイラは圧力を受けている。中央銀行は、1ドル=197~199ナイラの為替レートに固執しているが、闇市場ではドルは300ナイラ以上で売られている。

 ナイジェリアの購買力低下を反映するようナイラの下落を容認する代わりに、ブハリ政権はナイラ相場を高水準に維持しようとしている。中央銀行は、ドルの供給量を制限し、ショベル、コメから爪楊枝に至るまで、多くのモノの輸入を禁止した。政府は、それによって外貨準備が維持され、国内生産が刺激されることを期待している。

 通貨が切り下げられると、すべての輸入品の値段が高くなる。だが、ブハリ氏の体制下では、輸入規制は政府の命令によるものだ。工場経営者は、化学品など原材料が輸入できないと不満を述べ、輸入制限が続けば廃業せざるを得ないかもしれないと心配している。多くの人はドルを手に入れるために闇市場に向かっており、輸入が禁止されたモノの一部を間違いなく密輸している。