(2016年2月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

OECD経済見通し、世界的には低調

記事に登場するリック・スパイズさんのような世代は、米国のサブプライムローン危機の落とし子〔AFPBB News

 リック・スパイズさんは2005年に大学を卒業した後、自分は両親と同じような道をたどって大人の米国人になるのだろうと考えていた。首都ワシントンにほど近い裕福な人が住む街、バージニア州アレクサンドリアの郊外にマンションを買うわけだ。当時はサブプライムローンの全盛期。給料は年3万ドルだったが、その10倍の住宅ローンを簡単に組むことができた。住宅価格もうなぎ登りだった。

 あれから10年。スパイズさんは3人の子供に恵まれ、勤務先もシンクタンクから住宅ローン販売会社に代わった。

 しかし、住んでいるのは自分名義の家ではなく、コロラド州にある両親の自宅だ。

 いま住宅を買うのは非常にリスクが大きいように感じられるという。「宝くじの『パワーボール』を当てて、現金で買うなら別だけどね」。

 そう考えるのはスパイズさんだけではない。米国の18~34歳――同国では最も人口が多い年齢層――の持ち家比率は現在、1982年以来の低水準にとどまっている。いわゆる「ミレニアル世代」の3分の1近くは両親と同居している。これは景気後退の最悪期に当たる7年前よりも高い値で、米国の国勢調査でデータ収集が始まった1968年以降で見ても最も高い。

サブプライムローン危機の落とし子

 同世代の多くの人々と同様に、30代半ばのスパイズさんはサブプライムローン危機の落とし子だ。仕事を辞めて住宅ローンの返済が滞るようになったことから、自宅は2008年1月に手放した。市場暴落の最悪期は避けられた格好だ。

 「親許に居候するのではなく、今後も長く住める」家を持ちたいのはやまやまだが、自分のクレジットスコア*1はまだ非常に低く、現段階では住宅ローンを組ませてくれる銀行はなかなか見つからないだろうと話している。

 ミレニアル世代に住宅の買い手が少ないことに、エコノミストたちは首をひねっている。確かに、景気後退期に失業して最大級の打撃を受けた世代ではあるものの、景気はその後、急回復している。米国のミレニアル世代の失業率は昨年、7.7%にまで低下した。最悪期からの低下幅は5ポイント近くで、国民全体のそれとほぼ同じだ。

*1=その人の信用力を表した点数のこと