(2016年1月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ドメイン名管理のICANN、「年内に民営化へ」

ICANNのファディ・シェハデ最高経営責任者(CEO)は米国人以外の人に跡を継いでほしいと考えている〔AFPBB News

 向こう数週間内にインターネット上のドメイン名やIPアドレスを管理する国際団体ICANNがトップ交代を発表する見込みだ。レバノン生まれの米国人であるファディ・シェハデ最高経営責任者(CEO)が退任することになっている。そして同氏は米国人ではない人が自分の後を継ぐことを望んでいる。

 サイバーオタクの世界の外では、そのような交代は恐らく波風を立てないだろう。これは近代世界の奇妙な皮肉であり、危険でもある。

 人はかつてないほどインターネットに依存しているが、ネットがどう機能し、どう統治されているか、その仕組みをちゃんと知っている人は少ないのだ。

 ICANNはインターネットの支柱だ。システムをつなぎ合わせるドメイン名とIPアドレスが確実に円滑に動くようにしている。だが、シェハデ氏とその同僚たちの仕事は往々にして見過ごされる。

アジアや欧州の怒りを和らげるチャンス

 水面下で、これらのプロトコルやドメイン名を誰が統制すべきかを巡る戦いが繰り広げられている。これは技術系の人だけに関係する話ではない。ICANNの物語は米国政府に、欧州諸国やアジア諸国の政府が米国のインターネット政策に対して感じている怒りをいくらか和らげるタイムリーな機会を与えるかもしれない。

 この問題は、「.edu」や「.com」といったドメイン名とIPアドレスを誰が割り当て、監督、監視すべきかという疑問を中心に展開している。1998年に米国政府によって設立されて以来、ICANNがこの仕事をこなしてきた。ICANNは米商務省から認可を得た非営利団体として活動しており、IPアドレスが衝突しないことを担保するといった機能を遂行する巨大なボランティアコミュニティーを組織化することで任務を果たす。

 インターネットが家内工業だった頃は、この緩い構造が理にかなっていた。もはや、そうではない。中国やインドといった国は今、膨大な量のインターネットトラフィック――そしてIPアドレス――を生み出している。