(2016年1月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

外交的には成功のAIIB、問われる中国の運営能力

2016年のG20議長国は中国。その中国での年初からの市場混乱に世界が不安を募らせている〔AFPBB News

 中国が先週、20カ国・地域(G20)議長国としての活動計画を世界の主要経済国の政府高官らに提示した際、中国政府は経済的に有益な4つの優先事項を打ち出した。

 国務委員の楊潔篪氏は北京に集まった「シェルパ*1」たちに向かって、中国はG20が「成長に向けた新たな道筋」を開拓し、「より効果的な」世界経済統治と「力強い国際貿易」、「包括的な発展」を追求することを切に望んでいると述べた。

 だが、中国の外交政策を担う最高幹部である楊氏は恐らく、5つ目の優先事項を付け加えるべきだった。中国の指導部がまだ事態を掌握できているということを、他の主要国に納得させることだ。

 急落する市場と中国経済に対する懸念は、習近平国家主席と共産党指導部にとって、持ち回りのG20議長国としての任務に期待していたより困難なスタートをもたらした。

 だが、2016年の難しい幕開けのせいで、他の主要経済国の政府高官やアナリストたちも頭を悩ませ、中国の問題が自国経済に与える影響という新たな懸念について熟慮している。

FRBの利上げより大きな懸念材料に

 「韓国経済にとっては今年、中国経済が最大の不透明要因だと考えている」。韓国銀行(中央銀行)調査局長のチャン・ミン氏はこう語る。

 この懸念はG20全体で繰り返し口にされており、中国の経済運営が米連邦準備理事会(FRB)の政策を抜いて、世界経済にとって最大の差し迫った懸念材料となっている。

 米国では、中国の混乱を考えると、昨年12月にほぼ10年ぶりに利上げしたFRBの行動が早計だったのではないかと疑問視するエコノミストもいる。

 英国のジョージ・オズボーン財務相は年初から著しく悲観的になり、英国経済は、中国の成長鈍化やコモディティー(商品)価格の連鎖的下落、ロシアとブラジルの景気後退、世界の株式市場の下落などの「新たな脅威の危険な組み合わせ」に打ちのめされる恐れがあると警告した。

*1=サミットなどで首脳の補佐役を務める人の呼称