東芝、社長ら経営幹部が辞任 不正会計問題で

東芝本社で行われた記者会見で謝罪する、田中久雄社長(中央)、室町正志会長(左)、前田恵造副社長(右、2015年7月21日撮影)。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI〔AFPBB News

 2008年度以降の約7年間で総額2248億円の粉飾会計を行った代償は、東芝にとって高くつきそうだ。

 まず、この粉飾会計のお蔭で、東芝は歴代3社長を含む元役員5人に3億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。

「たった5人で、たった3億円か?」と思っていたら、案の定、訴訟は拡大し始め、個人株主が室町社長を含む現旧役員28人に対して総額10億円の損害賠償を求める訴訟を東芝に要求した。また、証券取引等監視委員会の特別調査課は、歴代3社長に対して金融商品取引法違反容疑で刑事告訴の可否を検討している。

東芝解体か?

 その上東芝は、粉飾会計のツケにより解体されようとしている。東芝は2016年度に、去最悪の5500億円の赤字に陥る見通しで、そのため約1万人の削減と以下のリストラを余儀なくされる。

 テレビや白物家電などのライフスタイル部門では約6800人をリストラし、開発拠点の青梅事業所を閉鎖、インドネシアの工場は中国企業に売却する。パソコンは分社化して、富士通やソニーのVAIOと事業統合する方向で調整が進められている(日本最大の負け組PCメーカーの誕生だ)。

 原子力事業では、原発は子会社のウエスチングハウス(WH)が2012~2013年度の決算で計13億ドル(約1600億円)の減損損失を計上していることを隠していた。その上、2011年の東日本大震災以降、原発の新設受注で苦戦しているにもかかわらず、2029年度までの15年間で新たに「64基」を受注するという実現不可能な目標を掲げている(これはいずれ破綻するだろう)。

 半導体では、大分工場のCMOSセンサはソニーに売却し、社員1100人がソニーに転籍する(ソニー転籍組の方が年俸等の待遇が良いというのは皮肉である)。それ以外のSOCは、岩手東芝エレクトロニクスに統合され、ディスクリートでは子会社の加賀東芝エレクトロニクスが白色発光ダイオード(LED)から撤退する。