仏極右ルペン党首、IS「処刑」写真ツイートで波紋

フランスの極右政党、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首(2015年6月10日撮影、資料写真)。(c)AFP/FREDERICK FLORIN〔AFPBB News

 欧米において近年、一般市民の政治不信が高まっている。それに伴い、これまでの既存政党に対する支持率は低下傾向となり、比較的新しい極右政党、極左政党等への支持率が上昇している。

 特に、欧州においては極右政党への支持率が昨今急激に上昇しており、欧州の複数の国で政権与党となっている。極右政党の躍進は、これらの国の政治・経済・社会の全ての側面に多大な影響を与えることが懸念されている。

欧米で政治不信が拡大

 2015年12月7日、米国大統領選挙に共和党から出馬することを表明している実業家のドナルド・トランプ氏が「イスラム教徒の米国入国を禁止するべき」と発言し、米国内で物議を醸し出した。これまでも同氏は、メキシコからの不法移民について、強硬な発言をするなど、大衆迎合的な発言を繰り返しているが、今回の発言は宗教的差別という意味で、大きな論議を呼んでいる。

 しかしながら2015年12月13日にABCとワシントンポストが発表した共和党候補の支持率では、トランプ氏38%、テッド・クルーズ氏15%、ベン・カーソン氏とマルコ・ルビオ氏の両氏が12%となっており、その発言後も共和党候補の中で高い支持率を維持している。

 以上の候補たちを見て特徴的なのは、実業家のトランプ氏、医師のベン・カーソン氏の両氏は全く政治家経験のない候補であり、2位につけているテッド・クルーズ氏も上院議員の経験が2年にも満たない候補であるという点だ。つまり、政治家色のない候補が高い支持率を集めているというわけである。

 この背景には、米国をはじめとする欧米全体で政治不信が高まっていることが挙げられる。現在、世界的に政治・経済・社会が流動化し、その変化のスピードはかつてない程に早まっている。しかし各国政府の政策決定・実行は、変化のスピードに十分に対応しているとは言い難い。

 また、インターネットの劇的な進展により、政治家個人または政府に関する情報が数多く流通し、スキャンダルなどが即座に露見することも増えている。政治家のパフォーマンスを評価することが困難である反面、ポジティブな情報よりネガティブな情報が多く取り上げられることも政治不信を生み出していると言える。