(2015年12月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

2015年は世界中で不安感が広がった1年だった。2016年はどんな年になるのか・・・ (c) Can Stock Photo

 2015年は、不安な気持ちと嫌な予感がすべての大国の中心都市に住み着いたかのように思われた年だった。北京からワシントン、ベルリン、ブラジリア、モスクワ、そして東京に至るまで、政府もメディアも市民もびくびくし、苦境に立っていた。

 このような形で不安感が世界中に広がるのは珍しいことだ。

 過去30年以上にわたって、強気で楽観的な大国が常に1つはあった。

 1980年代の後半には日本が数十年間に及ぶ景気拡大をまだ謳歌しており、自信に満ちた様子で世界各地の資産を買いあさっていた。

 1990年代には米国が冷戦の勝利と長期の景気拡大という恩恵に浴していたし、2000年代の初めには、共通通貨を導入したり加盟国を2倍近くに増やしたりした欧州連合(EU)が活気づいていた。そして過去10年間は、政治と経済の両面で成長を続ける大国の中国に世界中が敬意を表することがほとんどだった。

すべての大国が不安に苛まれる時代

 しかし今日では、そうした大国がすべて確信を持てず、何かを怖がっているようにさえ見受けられる。筆者が今年体験した限りで言うなら、そのように言い切れない国はインドだけだ。ここでは政界や経済界のエリートたちが、ナレンドラ・モディ首相が発する改革への熱意のせいで活気づいているように思われた。

 これとは対照的に日本では、アベノミクスと言われる大胆な改革を実施すれば債務とデフレの循環を本当に断ち切ることができるとの自信が失われつつある。日本の不安は、中国との緊張が続いているせいでもある。

 しかし、筆者が今年の前半に中国を訪れたときに特に印象的に残ったのは、中国もまた不安を覚えており、その不安感はつい2年前と比較しても強まっているということだった。年率8%以上の経済成長を政府が難なく達成できる時代は終わった。この夏に上海証券取引所で生じた株価の大変動で明らかになったように、国内金融の安定性に対する懸念はじりじりと強まっている。