日本企業は体質改善が待ったなし。どこに向けて針路をとればいいのか?(写真はイメージ)

 このところ日本企業の利益が拡大している。2015年12月末に2016年度予算の政府案が閣議決定されたが、好調な企業業績を背景に税収は前年度で3兆円の増加となった。

 だが日本企業の業績拡大は、そろそろ頭打ちとなる可能性が高い。その理由は、業績拡大の多くの部分が円安効果によるものであり、必ずしも持続的な成長軌道に乗っているわけではないからだ。

 米国は昨年末とうとう利上げに踏み切ったが、米国経済は過熱が心配されるほどの水準ではなく、利上げペースが緩やかなものになることは確実である。日銀がさらに大胆な追加緩和に踏み切らない限り、この先、大幅な円安は期待できないだろう。そうなってくると、日本企業の業績も伸び悩む可能性が高くなってくる。

 2016年は、日本企業が本当の意味で体質転換できるのか正念場の年となるだろう。

大手メーカーの収益率は拡大しているが・・・

 リーマン・ショック以降、日本企業の業績は大幅に拡大した。2010年度から2014年度の5年間に、売上高は約5%増加し、当期利益は2倍になっている(法人企業統計)。株主に対する配当も約1.5倍に拡大した。2010年度の株価はだいたい1万円前後だったが、利益が倍増したことを考えれば、株価が2万円に達したのは当然の結果といってよいだろう。

 だが今後も同じようなペースで利益が増加し、それに応じて株価も順調に上昇するのかというと、必ずしもそうとは言えない。日本企業の収益拡大は、円安による円換算の売上増加と人件費の抑制によってもたらされている可能性が高いからである。本当の意味で収益体質に転換したわけではないため、円安効果が一段落してしまうと、利益成長のペースが鈍化してしまうリスクがある。こうした状況は、企業の経営状況をもう少し詳しく見るとよりはっきりしてくる。