春の井之頭公園(東京都三鷹市、ウィキペディアより)

経営力がまぶしい日本の市町村50選(40)

インテリジェント・コミュニティ世界No1

 東京都三鷹市は多摩地域の東端に位置する、人口18万9083人(推計、2015年9月)の市である。都市の便利さと緑豊かな自然とが調和する公園都市でもある。

 市域には豊かな自然が存在し、市内には国立天文台三鷹キャンパス、井の頭恩賜公園、野川公園があり、観光名所としては、2001年に開館した三鷹の森ジブリ美術館を筆頭に、三鷹市山本有三記念館、太宰治文学サロンなどの様々な文化施設が存在する。

 15の小中学校が農園を持ち、学校区ごとに数年間50万円の予算をかけて農業指導員による栽培から収穫までの教育を行い、結果的に農家の後継者育成などにも寄与している。

 また、全国初のゼロ歳児保育施設の開所(1956年)、全国初の公共下水道100%整備(1973年)を実施した都市である。

 そして、2005年度にはWTAによる*1インテリジェント・コミュニティ・オブ・ザ・イヤー世界1位に選出されている。

 常に最先端の技術を取り入れてきた点をはじめとして、「SOHO CITY みたか構想」「市民プラン21会議」「あすのまち・三鷹推進協議会」「三鷹ネットワーク大学」など、市民や研究機関、企業、行政が協働(コラボレーション)によって、まちを活性化させ、まちづくりを行ってきたことが高く評価された。

みたか市民プラン21会議

 市民が積極的に行政に関与するスタイルは三鷹方式とも呼ばれ、他の自治体からもモデル事例として参考にされているが、そもそもは「昭和の大合併」時に武蔵野市との合併を選択しなかったことが市民の自立心を掻き立てることにつながっている。

 良い意味で隣の武蔵野市へのライバル心が市の職員や市民の意識を高めていることは間違いない。

 例えば、市職員の自治体関連の学会への参加率は非常に高く、かつ通常は部長クラスの出席が一般的なのに対し、三鷹市は現場の職員が他流試合として積極的に報告している。ゆえに職員の意識や自信に裏づけられた行政の現場力が非常に高いと言える。

 市民の意識に関しては、みたか市民プラン21会議(市民21会議)が象徴的である。

 この会議は、三鷹市の基本構想の見直しと第3次基本計画策定に向けて、市民視点の提言である「みたか市民プラン21」を作成し、市民の意見を反映させるための自立的な組織である。

*1=WTAとは、ニューヨークに本部を置き情報通信や経済の効率化を推進するために1985年に設立された国際的な組織で、世界の116の団体が参加している。この団体は1999年から、世界のITを活用して経済や文化、社会を発展させた優れた地域をインテリジェント・コミュニティとして表彰している。