(英エコノミスト誌 2015年12月19/26日合併号)

復星集団の経営者の身柄拘束は、もはや中国産業界最大の大物でさえ政権の取り締まりから逃れられないことを示している。

連絡絶った「中国のバフェット」、数日ぶり姿現す 無事帰宅と報道

一時姿を消した復星集団の郭広昌会長は「中国のウォーレン・バフェット」の異名を持つ富豪〔AFPBB News

 習近平国家主席が監督する、汚職その他、中国共産党指導部にとっての脅威に対する3年間の取り締まりは、多くの標的を狙ってきた。党幹部や政府高官、国営企業のトップ、人権活動家、労働組合の組織者、人権派弁護士などだ。

 北京では12月下旬、言論の自由を擁護する活動家、浦志強氏の公判が行われている法廷の外で、外交官や外国人ジャーナリストなどが組織化された暴漢たちによって手荒に扱われた。

 だが、これまでは、中国市民の1つのグループはこのような嫌がらせを免れているように見えた。自力で大成した中国民間部門の億万長者たちだ。

世界を揺るがした復星集団会長の「失踪」

 しかし先日、中国で最も成功し、最もグローバル化した民間複合企業の1つ、復星集団の会長で支配株主でもある郭広昌氏が突然姿を消し、その後、同じくらい謎めいて再び姿を現した。その間、司法当局による取り調べのために拘留されていた模様だ。同氏の拘留について正式な説明は行われていない。

 このようなことが今、中国で最も著名な産業界の大物――最近の習氏の訪英や訪米にも同行していた人物――に起こり得るということは、今や政権の取り締まりが民間企業の脅威になり始めているかもしれないという、投資家に対する警告となるはずだ。

 12月10日の地元紙の報道では、郭氏は上海で飛行機から降りた時に治安当局者によって連行され行方不明になったとされていた。復星集団は、行方不明の会長は単に当局の調査に「協力」していただけだと主張したが、それでも同社株の取引を一時停止するよう要請した。

 売買停止は全世界に波紋を広げた。というのも、復星集団は今、欧米の名だたる企業やビルに何十億ドルも投資しているからだ。はらはらさせる週末を経て、郭氏は12月14日の社内会議に再び姿を現したが、自身の不在に関する説明はなかった。

 復星集団は、取締役の意見として、会長が手助けしている調査が同社の財務や業務に「重大な悪影響」を及ぼす危険はないと述べた。だが、同社が何らかの腐敗捜査の焦点となった場合には、その打撃は壊滅的なものとなる恐れがある。