「スター・ウォーズ」週末興収で新記録、全世界で642億円

米カリフォルニア州ロサンゼルスの映画館の外で『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の公開を待つファンたち(2015年12月17日撮影)〔AFPBB News

 頻発するテロ、繰り返される銃撃事件、さまよう難民、極端化する異常気象、予測不能の大地震、市民を食いものにする「偽装」、パンデミックの恐怖・・・。

 今年も世界は激しく揺れ動いた。そんな世界を感じる映画を紹介してきた当コラムでは、2015年という年を振り返っていきたいと思う。

 今回は、今年劇場公開された映画で感じる世相。まずは、映画界から見てみることにしよう。

 今年を象徴するのが、年も押し詰まってから公開され、その熱狂ぶりが世界中から伝わってくる「スター・ウォーズ」。

2015年のシリーズ新作は結構粒ぞろい

 シリーズもの、リブート作が目白押しの1年だった。ターミネーター、ミッション・インポッシブル、ジュラシック・パーク、マッドマックス、ナポレオン・ソロ、007、ハンガー・ゲーム・・・。

 さびしい出来のものもあったが、結構粒揃いだった。そして、スーパーヒーローもの、アメコミものも、相変わらぬ盛況ぶり。

 そんな作品陣には無縁とも思えるアカデミー賞主要部門で、今年、作品賞、監督賞、脚本賞を受賞した『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)の主人公は、かつてスーパーヒーロー役で一世を風靡した俳優。

 その後落ち目となり、ブロードウェイで一発大逆転を狙っている。シネコン化が進み、小品の公開はしやすくなっているものの、大作志向、CG頼りは進むばかり。そんな現実への痛烈な皮肉が感じ取れる。

 一方、主演女優賞を獲得したジュリアン・ムーアが『アリスのままで』(2014)で演じたのは、50歳になったばかりの言語学者アリス。

 働き盛りに、「若年性アルツハイマー病」の診断を受け、生活が、記憶が侵されていく無念、不安が、本人目線中心に描かれていく。