中国潜水艦に標的とされた米海軍の空母ロナルド・レーガン

「10月下旬、九州西方沖の東シナ海で中国海軍潜水艦がアメリカ空母『ロナルド・レーガン』に接近浮上した」という情報がアメリカ海軍関係者の間で取り沙汰されていることを本コラム(「日本周辺海域も「波高し」、中国潜水艦が再び米軍空母に接近」)で紹介した。

 その情報を公開したアメリカのニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン(The Washington Free Beacon)」が、今度は「中国潜水艦のアメリカ空母への接近事件は、じつはアメリカ空母打撃群に対する攻撃シミュレーションであった」という情報を公開し、再び海軍関係者の間で議論が高まっている。

空母攻撃訓練を実施した中国潜水艦

 横須賀を母港とするロナルド・レーガン空母打撃群は、韓国海軍との合同演習に参加するため、太平洋から九州沖の東シナ海をへて対馬海峡を釜山沖へと抜けた。その途中、10月24日、東シナ海でロナルド・レーガンの直近(おそらく10キロメートル以内)に中国海軍「キロ636型」潜水艦が接近していた、という事件が発生した。

中国海軍キロ636型潜水艦

 この事件の発生直前に、アメリカ海軍駆逐艦は南シナ海の中国人工島12海里内海域を航行する作戦を実施していた(=FONOP:公海航行自由原則維持のための作戦)。そのため、ロナルド・レーガンに潜水艦で接近した中国海軍の動きは、FONOPに対する政治的デモンストレーションとみられていた。もちろん、そのような意味合いがあったことは間違いない。