(2015年12月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

米連邦準備理事会(FRB)は12月16日、9年半ぶりの利上げに踏み切った (c) Can Stock Photo

 ジャネット・イエレン氏は米国経済を低利資金中毒から引き離し始めた。だが、最近の経済統計の内容がまちまちなことから、エコノミストの間では、金利を0.25%引き上げた米連邦準備理事会(FRB)議長の決断の是非について意見が割れている。

 FRBが直面する課題について異なる視点を求めるのであれば、ワシントンの別の一角に目を向ける価値があるだろう。金融調査局(OFR)である。

 FRBの利上げ発表の直前にOFRは米国の金融の健全性に関する初の金融安定性報告書を公表したが、概ね見過ごされてしまった。

 それは残念なことだ。米財務省から派生したOFRは、2008年の危機後に金融リスクを評価するために創設された。そして今回の報告書は、数年に及ぶ超低金利が金融システムを目立って歪めたことを明らかにしている。

 新たな危機を引き起こすことなく、こうした歪みに対処するためには、イエレン氏には並外れたスキル――および幸運――が必要になる。利上げに対する市場の反応は見事なまでに落ち着いているように見えるかもしれないが、金融システム全体にとって本当の試練は始まったばかりだ。

 金融においては、投資家が注視する必要のある分野が少なくとも3つある。

見過ごされている信用バブル

 1つ目は、超緩和型の政策がこれから収縮しかねない信用バブルを生み出したという事実だ。こうした信用バブルは住宅ローンと銀行という2000年代のバブルの中心にいたセクターで生じたわけではないため、当時ほど関心を集めなかった。だが、国際決済銀行(BIS)が今月書いたように、新興国市場では、2008年以降、債務が大幅に増加している。

 また、OFRは先日の報告書で次のように述べている。「我々の評価では、米国の非金融企業部門の信用リスクは高水準で、増大して」おり、その水準は「基準金利の上昇が借り換えリスクを生み出し・・・潜在的に広範なデフォルト(債務不履行)サイクルを引き起こす可能性がある」ところまで達している。