海外進出の際は現地の自然災害リスクへの備えが欠かせない(写真はイメージ)

 海外進出におけるカントリーリスクとして、地震や台風、噴火、洪水などの自然災害は最大のリスクの1つである。

 図1は、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)が運営する世界的な自然災害のデータベースであるEM-DATから抜粋した「1900年以降の自然災害の発生件数」である。このグラフからは、1970年代以降、急激に自然災害が増加していることが分かる。

図1 1900年以降の自然災害の発生件数(出所:EM-DAT)
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 この要因には世界的な気候変動の要因も挙げられるが、最大の要因は人口の増加であるとされる。例えば、1970年代初頭、世界の年平均の人口増加率は2%を超え、1900年以降、最高の増加率を記録(1975年当時の世界の人口は約40億人であったが現在では約73.5億人とされている)している。このような急激な人口増加が自然災害増加の要因となっているのだ。

 人口の増加が、なぜ自然災害の増加を助長するのか。その理由は、一般的に自然災害とは「人間に影響を与える自然現象」であるためである。例えば、南極で大規模な地震が発生しても、人に影響を与えない場合には、自然災害とはされていない。そのため、人口増加は直接的に自然災害の増加を助長することとなる。

世界的に洪水が増加している

 災害別にみると、世界的に洪水が大幅に増加している。図表1の細い線が洪水の発生件数(全体の件数の内数)であるが、自然災害の増加傾向とほぼ一致していることが分かる。