海上自衛隊の米国派遣訓練で真珠湾に寄港する「そうりゅう型潜水艦・はくりゅう)」(出所:Wikimedia Commons)

 先日、台湾の潜水艦戦力強化プログラムに関するカンファレンスがワシントンDCで開催された(主催はアメリカのシンクタンク「Project-49」)。

 台湾からは、実質的な駐米海軍武官(アメリカに駐在している台湾軍の武官たちは、大使館・領事館に相当する台北経済文化交流署に配属されている)であるデビッド・ヤン海軍少将が参加して基調演説を行った。さすがにアメリカ海軍をはじめとするアメリカ政府・軍当局者は参加しなかったが、中国や台湾を専門とする軍事専門家たちが参加して突っ込んだ討議が行われた。

ヤン海軍少将の口から出た「そうりゅう型潜水艦」の名

 この会合での質疑応答の中で日本にとって興味深いのは、ヤン少将が「日本側と『そうりゅう型潜水艦』の買取可能性に関する話し合いをした」と明言したことである。

 台湾側としては、「日本は武器輸出に関する制限を緩和しただけでなく、すでに『そうりゅう型潜水艦』の売り込みをオーストラリアに対して実施していることを鑑みると、日本が台湾に売却する可能性は十二分に期待できる」と見ているのだ。

 これに関連して、アメリカの海軍兵器市場を専門とするシンクタンク(AMI International)の研究者は次のように発言した。

「通常動力の攻撃潜水艦を建造するラインを閉じてしまって四半世紀以上にもなるアメリカが台湾に通常動力潜水艦を供与するとなると、1隻あたり8億ドル程度になると言われている。これに対して日本の『そうりゅう型潜水艦』は1隻あたり5億ドル前後である。日本から購入したほうが経済的にも性能的にも台湾にとって圧倒的に有利といえる」