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(文:吉村 博光)

歴史手帳 2016年版
出版社:吉川弘文館
発売日:2015-10-22

 この12月に労働安全衛生法が改正され、50名以上の事業所について、全従業員へのストレスチェックが義務化される。本屋さんでは、日記・手帳商戦の真只中である。これは、偶然ではあるまい。いや、偶然か。いやいや、そんなことはどちらでも良い。これまでの日記・手帳は、成功や効率を追い求めるものが多かったが、最近はそのトレンドがやや変わりつつある。ここが重要である。

 ご存知の通り、日めくりカレンダーでさえ、従来型の偉人の名言集ではなく、変わり種が飛ぶように売れている。人々は、ストレスへの自衛手段として、従来の価値観に向き合い続けるのを避けようとしているのではないだろうか。交感神経と副交感神経、オンとオフを上手に切り替えるのは、もはや至上命題なのである。そんな時代に、お薦めしたいのが『歴史手帳』である。

昨年の全面改訂を機に大ブレイク中

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 この手帳、実は60年を超える歴史がある。タイプとしては、従来型の「専門手帳」に分類されるのかもしれない。しかし私は、これを「ビジネス手帳」として使う予定なのである。用途を転じるということは、まさにイノベーションではないか。

 じつは、この『歴史手帳』。昨年の全面改訂を機に大ブレイク中で、2016年版も売れ行きが順調だ。プロの歴史家の方だけでなくライトな歴史ファンへと、ユーザーが広がっているのは間違いない。