(2015年12月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中国、南シナ海めぐり米国を非難

東南アジア諸国連合(ASEAN)は人口や経済、宗教、政治が極めて多様な加盟国から成る(写真は2014年8月のASEAN地域フォーラムの会合の一幕)〔AFPBB News

 欧州諸国はなかなかまとまることができずにいる、移民や緊縮財政、債務などを巡る論争で参っている――もしそう思ったら、東南アジア諸国連合(ASEAN)を構成する10カ国のことを少し考えてみてほしい。

 確かに、ASEAN諸国は欧州諸国とは異なり、決定的な軋轢をもたらす大問題をほとんど抱えていない。

 大半の東南アジア諸国は減速する中国経済の影響に対処せざるを得なくなっているし、米国の金融政策の着実な正常化がもたらす恐れのある乱気流に備えている。

 だが、ASEANは1950年代の欧州連合(EU)にも似た緩やかな連合体であり、内部で大規模な財政移転が行われているわけではない。離脱をほのめかす国があるわけでも、政策の方向性に根本的な違いがあるわけでもない。

 それでも、ASEANは今月、実態はともかく名目上は単一の市場の創設という重要な節目を迎えることから、この「new bloc on the block(新興ブロック)」のとてつもない多様性について考えてみる価値はある。

驚くほどの多様性

 ASEANには6億2500万人が住んでいるが、そこにはインドネシア(人口2億5000万人)のように多くの島々が長く連なっている国もあれば、ブルネイ王国(同40万人)のようにとても小さな国もある。シンガポールのように1人当たり国内総生産(GDP)が5万5000ドルに達する国もあれば、カンボジアのように1000ドルを超えたばかりの国もある。

 不完全かもしれないが騒々しい民主主義の国もあれば(インドネシア、フィリピン)、共産党による一党独裁の国もあり(ベトナム)、軍事政権の国もある(タイ)。マレーシアやインドネシアのように国民の過半数がイスラム教徒の国もあれば、ミャンマーのようにほとんどが仏教徒の国もあり、フィリピンのようにローマカトリック教徒が支配的な国もある。

 道路のどちら側を車が走るかでも、ASEAN諸国はきれいに分かれる。5カ国が左側通行で、5カ国が右側通行なのだ(もっとも、ベトナムの車は左側も右側も走る)。