(英エコノミスト誌 2015年12月5日号)

表現に対する取り締まりの兆候が広がっている。

習主席、給与62%アップ 中国メディア

習近平国家主席が表現に対する締め付けを強化している〔AFPBB News

 8月半ば、中国東部・江蘇省の元共産党幹部、越少麟氏が、反腐敗運動を主導する共産党中央規律検査委員会に連行された。そこに変わったことは何もない。大勢の地方党幹部が全国的な反腐敗運動に巻き込まれている。意外だったのは、越氏が告発された罪だ。

 こうした告発は通常、被疑者が非道な不正行為によって蓄えたとされる巨額の富を強調する。党の新聞「新京報」によると、越氏の罪は、政府の政策を批判したことによる党の規律違反だったという。

 共産党中央党校の謝春涛氏は「自分たちの方が党より賢いと思っている人がいるが、それは許されないことだ」と吐き捨てた。

 身柄を拘束されたのは、越氏だけではない。中央規律検査委員会は10月中旬、北京に近い河北省と南部の広西チワン族自治区の現役党幹部2人を逮捕した。彼らの罪のリストにも、党批判が含まれていた。

古い習慣への回帰

 中央政治局は10月12日、党規約の改訂版を承認した。国営新華社通信は、新規約は共産党の歴史上、「最も完全で厳格な行動規範」だと述べた。新規約は、党員が政策について「否定的なコメント」や「無責任な意見」を述べることを禁じている。党員は問題を議論することはできる――だが、それは良いことを言う場合に限られる。

 イデオロギー的な適合を強調するこの姿勢は、古い習慣への回帰を示している。習近平国家出席は2013年9月、批判や自己批判を「強力な武器」と呼び、「これを使えば使うほど、問題を発見し、解決する指導者の能力が向上する」と言っていた。

 ところが、この数カ月、それも中華人民共和国の歴史上初めてのことではないが、比較的オープンな議論が表現に対するより厳しい制限に取って代わられている。そもそも表現は完全に自由だったことは一度もない。