(2015年12月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ベネズエラ国会議員選、野党連合が勝利

12月7日、南米ベネズエラの首都カラカスで、国会議員選挙の結果を受け喜ぶ野党連合の支持者ら〔AFPBB News

 ベネズエラの野党連合は6日の国会議員選挙で決定的な勝利を収めた。17年ぶりに野党が国会を支配することになる。与党・統一社会党(PSUV)とニコラス・マドゥロ大統領、仲間の左派勢力にとっては、大きな打撃だ。これはベネズエラの真の変化に道を開くことになる。

 日曜夜、勝利を祝い、カラカス最大級のいくつかのスラム街で花火が夜空を照らした。ベネズエラの国債価格も反騰した。

 野党にとって、勝利は大きな成果だ。特に、政府という言葉が強硬姿勢と犯罪性の代名詞となっていたからだ。だが、勝ち誇っている余裕はない。最大の難関はこれからやって来る。

 ベネズエラ国民は、対処する必要のある2つの差し迫った問題と、答えの出ていない1つの疑問を抱えている。答えの出ていない疑問は、国会で野党が手に入れた過半数の最終的な規模だ。これによって野党が本物の権限を得たかどうかが決まる。また、民主的規範の順守に対する、よくても中途半端な政府の姿勢が試されることにもなる。

 7日時点で、野党は167議席中99議席を獲得し、22議席の結果が未確定だった。理論上、この過半数は、予算に拒否権を発動し、経済改革を通過させるのに十分な規模だ。最終集計で101議席に達したら、野党は閣僚を罷免することもできる。だが、ベネズエラの極端な大統領制は、マドゥロ氏がそうした措置を覆せることを意味している。

 だから、絶対多数が本物の勝利となる。112議席以上確保できたら、野党は憲法を修正し、大統領から権限を奪うことができる。そうなったら、本当のゲームチェンジャーだ。危険な兆候が1つある。マドゥロ氏は6日、「社会主義のための戦いは始まったばかりだ」と宣言したのだ。

深刻な不況と悲惨な治安状態

 最終結果がどうであれ、これは幸先の良い話ではない。なぜなら、ベネズエラは対処しなければならない2つの差し迫った問題を抱えているからだ。1つ目は、経済を今年10%、2016年にさらに6%縮小させると見込まれている深刻な不況。2つ目は、人口1人当たりの殺人件数でベネズエラを世界一危険な国にしている悲惨な治安状態だ。

 どちらの問題も、輸出の90%以上を占める原油の価格下落は、原因の一部でしかない。原油安と同じくらい、甚だしい失政と腐敗、制度機構の買収、チェック・アンド・バランスのほぼ全面的欠如のせいでもある。行政府をマドゥロ氏のPSUVが支配し、国会を野党が支配している状況下で、こうした問題に対処し、解決しようとするなら、不幸にもチャベス主義の下で(また、多分にそのずっと前から)ベネズエラに欠けている資質が必要になる。優れた統治がそれだ。