「IoT(モノのインターネット)」、「インダストリー4.0」といった言葉を聞く機会が増えている。デジタル・トランスフォーメーション(変革)とも呼ぶべき、大きな波が押し寄せている。「このような変化に対応し、新しいビジネスを創造しようとしたときに、依然として自社の業務プロセスが分断された時間差処理でいいのかと考える企業からのご相談が増えています。」と紹介するのは、SAPジャパン エンタープライズビジネス営業本部 バイスプレジデントの小松新太郎本部長。ERPが再注目されているわけだ。

SAPジャパン エンタープライズビジネス営業本部
バイスプレジデント 本部長 小松 新太郎 氏  

 国内外の多くの企業から選ばれているSAPだけにユーザーは大企業が中心と思われがちだが、実は中堅中小企業にも幅広く採用されている。導入効果もさることながら、その選定基準や導入パートナー選びのポイントなども気になるところだろう。そこで、実際に導入したユーザー企業の生の声を聞いてみた。今後、ERP導入を検討している企業へのアドバイスなども含め、大いに参考になるはずだ。

大企業から中堅中小企業まで幅広い企業に選ばれるSAP

 SAPは1972年にドイツで設立された。主力製品であるERP(統合基幹業務システム)は世界トップシェアを誇る。ERPについて、大企業向けのもので、すでに行き渡ったと考える人がいれば誤解である。

 「世界でSAPの ERPを導入している企業は約20万社以上で、日本では2300社以上に導入されています。そのうち約50%は年商500億円以下の企業です。」と語るのは、SAPジャパン エンタープライズビジネス営業本部 バイスプレジデント本部長 小松新太郎氏。

 大企業から中堅中小企業まで幅広く採用されているということだろう。これらの企業がなぜSAPを選んだのか。企業規模、業種、導入時期も異なる3社に「ERP選定基準」を聞いた。

先行事例に学びアドオンを回避
グローバルスタンダードを手に入れる日本航空株式会社

 日本航空株式会社 常勤監査役の鈴鹿靖史氏は、ジャパンSAPユーザーグループの会長も務めている。同社が新整備業務システムにSAPのERPを導入したのは2004年のことである。同システムは、同社が保有する機体やエンジン、数十万個におよぶ装備品の整備計画や管理のほか、整備士のワークフローの管理から資格管理まで広範囲に及ぶ。

 「新整備業務の開発にあたって、既存のERPパッケージを使うか、これまでのように手組み(スクラッチ)でやるか、悩みました。しかし、40年前に構築したシステムがわかる人材が残っていないことから、SAPのERPを導入したほうがリスクが低いと判断しました。」と鈴鹿氏は振り返る。

 整備業務に限らず、現場ではイレギュラーの発生が付きものである。SAPはそれに対応できたのだろうか。「そのためにも、英国航空、ニュージーランド航空、シンガポール航空など、先行して整備業務システムにSAPを導入しているエアラインを何社も訪問し、話を聞きました。その結果、SAPのERPで大丈夫だと確信できました。コスト面でのメリットも大きかったですね。現在、19モジュールを使用していますが、アドオン(追加開発)も少なく抑えることができました。」(鈴鹿氏)。

 さらに大きな効果があるという。「昔からの当社独自のやり方を捨て、一挙にグローバルスタンダードというプロセスを手に入れることができました。世界の中で戦っていけるという自信を強めています。」と鈴鹿氏は力を込める。

 SAPジャパン第一営業部の平石和丸部長は「SAPのERPがアドオンを最小化できるのは、数万を超える業務プロセスが、パッケージに内包され、スイッチのオン・オフでプロセスを選ぶだけで各社仕様の基幹システムが構築できるためです。」と説明する。

SAPジャパン 第一営業部 部長 平石 和丸 氏 

 さらに、グローバル言語、通貨対応はもちろん、手形決済など日本独自の商習慣にも対応しているというから心強い。

SAPのFit率の高さに安心、意外と安いことにも驚き。
赤城乳業株式会社

 ヒット商品「ガリガリ君」をはじめ、アイスクリーム・氷菓の製造・販売を手がける赤城乳業株式会社(本社/埼玉県深谷市)は2013年、SAPのERPを導入した。

 同社財務本部 情報システム部 部長の吉橋高行氏は、導入の範囲を次のように紹介する。「財務会計、管理会計、あとは、販売管理、購買管理、生産管理、この5つのモジュールです。」 まさに、製造から販売、在庫、会計まで各部門のデータを統合し一気通貫で管理・運用できるシステムをSAP ERPが実現したわけだ。

「複数のSIerやベンダーにRFI、RFPを提出し、プレゼンテーションを受けました。Fit(適合性)やGap(差分)の分析を行ったところ、SAPがもっともFit率が高かったのです。さらに今回の選定にあたっては、私たち情報システム部のようなPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)側が選定するのではなく、ユーザーに評価をしてもらうようにしました。実際に触ってみて『使いやすい』という声が多かったですね。」(吉橋氏)。

 複数の提案を受けて、新たな発見もあったようだ。「これまで『SAPは高い』というイメージがあったのですが、むしろ逆で、他社のソリューションと比較しても安価ですむというのが意外でした。」(吉橋氏)。

 SAPジャパンの平石部長は「SAPのERPなら、業務プロセスを選ぶだけで標準機能が適用できます。赤城乳業様の場合、SAPの食品業界向け機能により要件をカバーできました。Fit率が高いのもそのためです。」と紹介する。開発費用、テスト工数を抑えられるだけでなく、稼働支援をしっかり行うことで、プロジェクトリスクも低減できるわけだ。
 

SAP標準をシンプルに導入する提案を行ったベンダーを選択
株式会社サンゲツ

 株式会社サンゲツは名古屋市に本社を置く、壁紙、カーテンなどインテリアの専門商社である。

 同社社長室長 兼 情報システム部長の柴田和彦氏は「弊社では2014年7月に新しい経営体制になりました。そのなかでもっとも大きな課題となったのが、業務改革の推進です。」と、SAP導入の背景を語る。

 同社はそれまで、スクラッチ開発した独自システムを基幹業務システムとして利用していたが、「最近では、拠点ごとの業務フローの不一致による不備も目立ってきていました。」(柴田氏)。喫緊の課題の解決のために、会計、販売、購買、物流のビッグバン導入(一括導入)を決めたのである。プロジェクトは2015年9月にスタートしたばかりで、2016年秋以降の本格稼働を目指している。

「複数のベンダーから提案を受けましたが、大半がSAPをERPに使うというものでした。」と柴田氏は語る。SAPの評価の高さがうかがえるが、そうなると、さらにSAPを提案したベンダー(SAP導入パートナー)から最適な1社を選定することになる。

  柴田氏は「結果的に、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)とBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を組み合わせながらも、できるだけシンプルにSAPを使うという提案をしてくれたベンダーを選びました。現在導入作業に入りましたが、一番の目的は業務改革であるということがぶれないようにしたいと考えています。これをきっかけに新規事業の参入や海外展開もさらに進めたいと考えています。SAPやベンダーにはさらに柔軟なサポートをお願いしたいですね。」と期待を見せる。

これまでの実績や将来性を含め、SAPはベストと言える存在

 SAPジャパンの小松本部長はERP選定のポイントとして「ERP導入が目的になってはなりません」としながらも「優先すべき選定項目で候補を1つか2つに絞り込む/絞り込んだ候補を理解し、導入企業の話を聞く/導入パートナー選定は既存関係よりも提案内容を重視する」という3つを挙げる。

 まだ導入していない企業にとって先行事例を聞く機会を得るのは容易ではないが、そこで頼りになるのが、前述したジャパンSAPユーザーグループ(JSUG)だ。SAPユーザーが自ら運営するユーザーコミュニティで、現在の会員企業数472社、会員約5,900名以上を有する。

 JSUGでは、定期的にフォーラムやカンファレンスを行っている。JSUGは、まだSAPのシステムを使用していない企業も入会できる。SAP ERPに興味がある企業は、便利に利用できるだろう。

 小松本部長はパートナー選定の重要性を強調する。「SAP導入パートナー選定における注目すべき点はまず導入実績数、特に直近2,3年の実績数、それとパートナー各社のSAP認定技術者数、この点も単純な人数だけではなくパートナーの技術者数に対してのSAP認定技術者の割合を見ることでそのパートナーのSAPビジネスの取り組み度合がわかります。そしてもっとも注目していただきたいのが、パートナーの経験値が盛り込まれた各業界向けテンプレートの保有の有無とプロトタイプアプローチによるプロジェクト推進方法です。SAPを導入するにあたって、プロジェクト推進を手組みシステム開発手法であるウォーターフォール型で提案するベンダーはSAP ERPの本質を理解していないので選ぶべきではないと思います。ERP導入はBPRとセットで考えるべきです。既存ベンダーは現在のお客様を知っているがゆえのしがらみからBPRを推進し切れないこともあります。既存の取引関係に縛られないことが最適なパートナー選定の秘訣だと思います。」と語る。

 

 また上流コンサルフェーズに対しては「実現手段を検討する前に本来、"どうあるべきかを決めましょう的"に始まるような、一見公平で偏りがなさそうに見える上流コンサルフェーズにおいては、何を目的に何をアウトプットするかを明確にする必要があると思います。結局、時間と費用を掛けて現状業務を棚卸ししただけで終わってしまったり、実現不可能な理想論が成果物になってしまっている事例をよく見ます。上流コンサルフェーズを実施するのであればベンダーが責任のない評論家にならないように留意しなくてはいけません。」と手厳しい。

 ERP導入は決して簡単ではないが大変だ、大変だ!と「都市伝説」的に大げさに煽るべきでなく、シンプルに業務標準化を適切なパートナーと正しく実行することが成功の近道と言えそうだ。

 さて、ここまで3社がSAPを選んだ理由を紹介してきた。選定基準はそれぞれ異なるが、いずれの企業にも共通しているのは、経営環境の変化が激しい中、その対応の速度を上げようとしていることだ。グローバル化も重要なキーワードだ。 

 その点で、SAPの ERPならすでにグローバルでスタンダードになっている。また、短期間かつ低コストでの導入が可能だ。海外でのM&Aによる統合などでも柔軟に活用できるだろう。

 ERP自身も進化している。2015年には、最新のインメモリーおよびリアルタイム機能を備えた「SAP S/4HANA」をリリースしている。デジタルやクラウドを活用したソリューションにも積極的に取り組んでいる。

 SAPは、これまでの豊富な導入実績はもとより、将来の変化への対応という点でも心強い存在だ。これだけのポテンシャルを備えたERPは他に存在しないといっても言いすぎではないだろう。ERPの導入を検討している企業はもちろんのこと、どこから始めればいいかわからないという企業も含め、まずは気軽にSAP社およびSAPパートナーベンダーに相談してみることをお勧めする。

関連動画

導入事例インタビュー 日本航空株式会社

 

導入事例インタビュー 赤城乳業株式会社

 

 
導入企業インタビュー 株式会社サンゲツ
 

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