サウジ王族バカンス、側近ら1000人以上連れ南仏へ

サウジアラビアのサルマン国王(2015年7月撮影)〔AFPBB News

 「このまま石油を使い続けるとあと40年で枯渇する」

 石油資源には限りがある、だから無駄遣いはできない。石油を消費する我々日本人にはそう刷り込まれている。だが、実際はどうなのだろうか。

 11月10日、国際エネルギー機関(IEA)は、今後アジア各国で需要が増えることを見込み、2020年には現在の倍近い1バレルあたり80ドルの原油価格になるとの予想を発表した。

 昨年、アメリカはサウジアラビアを抜き世界最大の産油国となったが、中東諸国は今後もオイルマネーで潤っていくのだろうか。

 國學院大学 経済学部教授の細井長氏は国際経済学、とくに中東地域の経済を専門とする日本では数少ない研究者の1人だ。中東産油国の経済のしくみや実情について話を聞いた。まずは「産油国経済のしくみ」について、大枠を捉えてみたい。

可採年数のからくり

――「石油はあと40~50年で枯渇する」と聞いたことがあるのですが・・・。

細井長氏(以下、敬称略):実質あと何年掘れのるか、つまり石油の「可採年数(現存埋蔵量を生産量で割った数字)」は原油価格の動向で変わってきます。

 まず、石油の採掘コストは掘る場所によって異なります。ひとえに中東と言っても、サウジアラビアやクウェートの辺りで石油を掘るコストは安く、1バレル当たり10ドルするかしないか。もっと安いところでは1ドルもかかりません。一方で世界の産油国の中には、100ドル程度の費用をかけているところもあります。

 最近の原油価格は1バレルあたり40ドル前後ですが、コストが100ドルだったら、採算割れするので、積極的には掘りません。逆に、原油価格が100ドル近かったときは、コストの高い油田でも掘っていました。

 生産量はその時の原油価格に左右されるため、可採年数も絶対的な値ではないのです。

細井長(ほそい・たける)氏。國學院大學経済学部教授。2004年立命館大学大学院経営学研究科博士後期課程修了。博士(経営学)。主著に『中東の経済開発戦略』、『アラブ首長国連邦(UAE)を知るための60章』。