(2015年11月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

マレーシア首相に汚職疑惑、政府系ファンドから個人口座に?

スキャンダルの渦中にいるマレーシアのナジブ・ラザク首相にとって、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議の主催は気まずいタイミングのはずだったが・・・ 〔AFPBB News

 スキャンダルの渦中にあるマレーシアのナジブ・ラザク首相にとって、自由な世界やそれほど自由でない世界の政治指導者たちと顔を合わせるには、今は耐え難いほどきまりの悪い時期だったはずだ。

 ナジブ氏が設立を後押しした開発基金「1MDB」は現在、疑わしい取引に関する複数の国際捜査で名前が取り沙汰されている。

 おまけに110億ドルもの債務を抱え、アップアップの状態だ。

 だが、名前が明らかにされていない中東のある人物から7億ドルの寄付が個人口座に振り込まれたと報じられたばかりのナジブ氏は、クアラルンプールで先週開かれた会議のためにやって来た米国大統領と中国首相をもてなす機会を楽しんだように見えた。

 それはそうだろう。バラク・オバマ氏は、テロ対策から自由貿易に至る幅広い分野でナジブ氏の支援を強く必要としており、国家の基金を大々的に不正流用したと批判されている指導者に明らかに寛大に接した。1つには、イラク・シリアのイスラム国(ISIS)にイスラム穏健派の情報発信で対抗する際にマレーシアは「特別に助けになる」存在だと称えた。

 オバマ氏はさらに、環太平洋経済連携協定(TPP)加盟国としてのマレーシアの重要性も認めた。米国政府は、このTPPが世界で最もダイナミックな地域と米国とをしっかり結びつけ、盛んに議論されている(が、あまり実行には移されていない)軍事力の太平洋へのピボット(旋回)を補強することを期待している。

バラク・オバマ大統領の上を行った李克強首相

 中国の李克強首相はこれより一枚上手だった。李首相はナジブ氏に、7億ドルでは不十分だと言わんばかりに大量の贈り物を浴びせた。まず、国有の原子力企業である中国広核集団(CGN)に1MDB保有のエネルギー関連資産を23億ドルで購入させ、1MDBの債務負担を軽減した。

 そしてクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道の計画など、ほかの案件にも中国が大型投資を行う可能性を熱心に語ってみせた。恋人が互いの詩を交換するように、両国は互いの国債を購入し合った。