(2015年11月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ロシア軍機撃墜、シリア反体制派が操縦士殺害 救出作戦で死者も

11月24日、シリア国境に近いトルコ・ハタイ県で墜落する航空機を捉えた画像〔AFPBB News

 トルコの戦闘機が24日、ロシアの戦闘爆撃機スホイ24を1機撃墜した。この展開を軍事計画立案者は以前から、ロシアが紛争に介入した結果生じる悪夢のシナリオの1つに挙げていた。

 この撃墜により、シリアでの戦争には新しく、危険な変化が加わる。

 また、北大西洋条約機構(NATO)加盟国がロシアの軍用機と空中戦を演じたのは、冷戦の最盛期以降で見ても初めてだと考えられる。

 1950年代や1960年代に起こった衝突は、すべてではないとしてもそのほとんどが米軍と旧ソビエト連邦軍との衝突で、当時は隠蔽された。

 軍事専門家はかねてから、シリア領とその周辺の空域がますます混雑しており、敵対する空軍同士が衝突する可能性があると繰り返し警告していた。最終的には、ロシアの戦闘爆撃機2機がトルコの領空を17秒間侵犯しただけで、かつて友好関係にあった2国が対立することになり、シリアの血みどろの内戦を鎮めようとする外交努力に新たな不確実性が持ち込まれた。

NATO全体のリスクが浮き彫りに

 「これは非常に深刻な出来事であり、十分に予想できたことでもある」。現役の軍幹部や退役軍人、政治家などが参加する独立系の団体、欧州リーダーシップ・ネットワーク(ELN)のディレクター、イアン・カーンズ氏はこう指摘する。

 「我々があの地域だけでなく欧州で、そしてNATO全体で危険を冒していることを浮き彫りにしている。欧州ではロシアの飛行機が戦艦の周辺を飛び回ったり、ほかのジェット機を刺激したり、NATO加盟国の領空で挑発的な行動を取ったりしている様子が見られる」

 トルコ政府の複数の当局者によれば、2機のスホイ24の乗組員は南の方角からトルコ国境に接近するにつれ、緊急無線で5分の間に10回の警告を受けた。2機はこの警告を無視し、1機は17秒後にシリア領空に戻ったものの、残る1機はトルコのF16戦闘機によってトルコ上空で撃墜されてシリア領内に墜落した、とトルコ政府当局者らは述べている。

 一方、ロシア国防省は、撃墜された戦闘爆撃機は「飛行中は一貫してシリアの領空にいた」と主張した。