(英エコノミスト誌 2015年11月21日号)

米新聞業界、13年も収入減 デジタル版は善戦

米サンフランシスコの売店に並ぶ新聞〔AFPBB News

多くの新聞社はまだ、継続的な削減に代わる策をほとんど見いだしていない。

 新聞業界は好況に沸いているのか、それとも破滅に向かっているのか? ニュースになるほどの金額がオンライン新聞に投資されている。ドイツの出版社アクセル・シュプリンガーは9月、4億4200万ドルの評価額でビジネス・インサイダーを買収した。そして、映画テレビスタジオを運営するNBCユニバーサルは8月、別のオンラインメディア企業バズフィードに2億ドル出資した。

 だが、金属活字の時代に発行された媒体では、ニューズ・コーポレーションやトリビューン・パブリッシング(シカゴ・トリビューンやロサンゼルス・タイムズなどの発行元)が今月公表した数字が浮き彫りにしたように、広告収入が減少し続けている。

 米国の日刊紙は2005年から2014年にかけて、全体の60%にあたる約300億ドルの広告収入を失った。ほとんどの場合、広告収入が減少するたびに、報道部門の新たな人員削減によって対応されている(下図参照)。

 トリビューンは、全従業員の7%にあたる500人に解雇の条件を提示している。こうした人員削減は、メディア企業の利益に対する短期的な打撃を抑える助けにはなっているが、見通しは暗い。

 メディア・コンサルタントのジム・チズム氏は、欧米の多くの新聞では、印刷広告収入が多かれ少なかれゼロに向かうと予想する。オンラン広告に関しては、絶え間なく広がる出稿先の選択肢は価格が低下し続けることを意味する。

 長年にわたる損失に耐えられる億万長者のオーナーを見つけること以外、新聞社は自らを救うために何ができるのだろうか?

ペイウォールに高い障壁

 大半の新聞にとっては、読者にオンラインニュースの対価を払ってもらうという1つの考えられる救済策はうまくいっていない。ニューズ・コーポレーションが傘下で最大の部数を誇る英国日刊紙「ザ・サン」にペイウォール(購読課金制)を導入してから2年が経つが、同社は先月、これを廃止すると述べた。

 課金する前に読者が数本の無料記事を読めるようにする「メーター制」ペイウォールは、ニューヨーク・タイムズのような一部の大手有名新聞や(このメーター制の草分けである)フィナンシャル・タイムズのような専門紙ではうまくいった。

 だが、大半の一般紙では、人々は無料の記事を読んだ後に立ち去る傾向がある。チズム氏によると、典型的な米国のパソコンユーザーはニュースサイトを訪れるたびに、1回228秒しか費やさないという。