米国タコマ郊外のルイス・マッコード陸空軍統合基地で合同訓練を指揮する米中両軍司令官

 南沙諸島の中国人工島、スービ礁、周辺海域での「公海航行自由原則維持のための作戦」(FONOP)実施以来、オバマ大統領は中国の人工島建設に対する牽制姿勢を機会あるごとに示している。ただし、中国人工島周辺海域で実施されたFONOPは1回だけで、その後は具体的行動には出ていない。

FONOPをめぐる米中の応酬

 もっとも、本コラムで繰り返しているように、FONOPは建前としては中国の人工島建設を牽制するためのものではなく、あくまで「公海航行自由原則」が維持されることを海軍力を使ってアピールするためのものである。したがって、アメリカ海軍自身がメディアや政治家などに注意を喚起しているように、FONOPと“人工島をはじめとする領域問題への介入”を混同することは避けねばならない。

 とはいえ、南沙諸島の中国人工島に建設中の様々な軍事施設は「公海航行自由原則」を脅かす恐れがあるため、アメリカがそれら軍事施設の建設に反対したり、建設中の軍事施設周辺海域でFONOPを実施することは当然の行動といえよう。