(英エコノミスト誌 2015年11月14日号)

まず米国、次に欧州。そして今、債務危機が新興国にまで広がっている。

世界経済にとって重要性が高まっている新興国に債務危機が広がっている (c) Can Stock Photo

 米国の不動産バルブが崩壊してから、もう10年近く経つ。ギリシャの支払い不能状態からユーロ危機に火がついたのは、6年前のことだ。この2つの出来事の共通点は、債務が急速に膨らみ、その後、破綻したことだ。この債務年代記の第3話が今、展開しつつある。今回の舞台は新興国だ。投資家はすでに発展途上国の資産を手放したが、成長の減速による最悪の苦しみに悩まされるのは、まだこれからだ。

 比較的貧しい国で債務危機が生じるのは、今に始まったことではない。

 ある意味で今回の危機は、1980年代や90年代の破綻を象徴するデフォルト(債務不履行)や通貨ペッグの崩壊に比べれば、それほど劇的なものにはならないだろう。

 現在の新興国は、全般に以前よりも為替相場が柔軟で、多額の外貨準備があり、外貨建て債務の割合も小さい。

 それでも、破綻に至れば、成長への打撃は現在の予想よりも大きなものになり、米連邦準備理事会(FRB)が金利の引き上げに踏み切るとともに世界経済を弱体化させるだろう。

予言された債務の物語

 この債務三部作を構成する3つの物語は、いずれも、資本の流れが国境を越え、金利の低下が進み、信用の拡大に拍車がかかったことでサイクルが始まった。米国では、アジアを中心とする世界的な過剰貯蓄がサブプライム住宅ローンに殺到し、破滅的な結果を招いた。ユーロ圏では、倹約家のドイツ人の資金が、アイルランドの不動産ブームとギリシャの公的支出拡大を後押しした。

 そうした先進国のバブルが崩壊に転じ、金利が歴史的な低水準になるのに伴い、資本の流れの方向が変わった。資金は先進国から貧しい国へ流れるようになった。それは少なくとも、正しい方向性だった。

 だが、これはまた別の浮かれ騒ぎだった。あまりにも多額の借り入れがあまりにも急速に膨らんでいった。企業が抱え込んだ債務の多くは、見通しの甘いプロジェクトの資金となったり、価値に対して高額すぎる資産の購入費用となったりした。