(2015年11月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

マイクロソフトのナデラCEO、昨年度の報酬は90億円

マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)〔AFPBB News

 マイクロソフト(MS)のサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は、欧州で米国のインターネット・クラウドコンピューティング企業に新たな息吹を与える方法を編み出したと考えている。エドワード・スノーデン氏による米国政府のインターネット監視の暴露が招いた米国企業に対する深刻な不信感を考えると、これ以上ないほど重要なタイミングで起きたことだ。

 だが、ナデラ氏は単に、負け戦からの撤退を先導しているだけだと言う人もいる。

 ナデラ氏は11日、「受託者」モデルでドイツ国内にデータセンターを建設する計画を発表した。新施設はMSの顧客情報を保管するが、運営はドイツテレコムの子会社が手掛ける仕組みだ。

 ナデラ氏に言わせると、MSはこれによって強固なプライバシー基準を採用し、顧客のデータを米国政府の手の届かないところに置く一方、グーグルやオラクル、アマゾン・ドット・コムなどの他の米国クラウド企業に1つの道筋を示すことにもなる。

米国企業には機密情報を預けられない?

 フォレスター・リサーチのポール・ミラー氏などのアナリストは、これは白旗を揚げる行為と見なすこともできると言う。米国企業には欧州の顧客の最も機密性の高いデータの保管を安心して任せられないということを、米国の大手ハイテク企業が初めて認めた、というわけだ。

 ナデラ氏は、自分は世界的な「パブリッククラウド」の当初のビジョンが潰えたという現実に対応していると言う。当初のビジョンでは、個人と企業はどこでも、あらゆる端末から自分のデータにアクセスできるが、大手ハイテク企業は基本となるインフラを最も安価かつ効率的に構築できるところに作ることを想定していた。

 「あれは非現実的な考え方だった」とナデラ氏は言う。「テクノロジーの世界では、時として万能な解決策を過度に強調してしまうことがある・・・クラウドはこれまでとは異なる形を取る。我々が形作りたいのは、それだ」

 ナデラ氏がMSのソフトウエア事業にクラウドサービスを統合しようとしている中で、新たな取り組みが同社のモデルに合うのは偶然ではない。ナデラ氏によると、法的な仕組みのおかげで、クラウドのスケールメリット――同氏が「ハイパースケール」と呼ぶもの――から恩恵を受けることは、なお可能だという。