10月29日、モーニング娘。ファンの間でかつてない衝撃が走った。

 2013年以降いわゆる“エース”として君臨してきた鞘師里保 (さやし りほ)が自身のブログで突如卒業を発表したのだ。

 鞘師は近年のモーニング娘。の再ブレイクにおいて、パフォーマンス面での立役者ともいえる存在だ。 9~12期で構成される現在の「モーニング娘。15」体制で、中心メンバーの1人だった。

鞘師里保・異例の卒業発表

 通例、中心メンバーの卒業は、コンサートなどの場でメンバー自身の声で発表され、その後卒業するメンバーを前面に押し出したツアーが組まれるものなのだが、今回はそうした予兆が全くなかった。

 鞘師の卒業発表に対するファンの動揺は大きく「ポスト鞘師」体制について「先が見えない」などと危惧する声がネット上では溢れている。

 筆者もこのニュースを聞いた時は言葉を失い、身体が崩れ落ちて膝が地面に着きそうになるほどの衝撃を受けた。とはいえ、本人が決めたこと。受け入れるしかない。

 そこで今回は、鞘師という人材がモーニング娘。というグループの歴史の中でどのような役割を果たしてきたのか、また卒業を決意する過程にどのようなマネジメント上の問題があったか、という点について振り替える。そして、今後残された人材でモーニング娘。はどのような方向性に向かうべきか、考えてみたい。

「とんでもない新人が入ってきた」

 まずは、鞘師里保という人材がどれほどモーニング娘。において重要だったのか、振り返ることから始めたい。

 鞘師は2011年1月、モーニング娘。9期メンバーとして、生田 衣梨奈(いくた えりな)、鈴木 香音(すずき かのん)、譜久村 聖(ふくむら みずき)と共に12歳で加入した。

 当時のモーニング娘。の既存メンバーは20歳前後でアイドルとして円熟期を迎えていたこともあり、新メンバー加入によりグループ内でパフォーマンスの格差が生じてしまうことを懸念する声があった。

 そんな声を打ち破ったのが、広島アクターズスクールで6歳の頃から英才教育を受けてきた鞘師の圧倒的なダンスパフォーマンスだった。