(2015年11月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

南シナ海を航行する米空母セオドア・ルーズベルト(写真:US Navy)

 1世紀以上前に最初に太平洋を米国の革新的利益と定義づけたセオドア・ルーズベルト元大統領は、かつて自国民に「大きなこん棒を携え、穏やかに話す」よう促した。

 控えめな態度のアシュトン・カーター米国防長官は5日、元大統領にちなんで命名された米空母への訪問を利用し、中国に対して極めて象徴的な警告を発した。

 カーター長官は南シナ海を航行する米空母「セオドア・ルーズベルト」――愛称は「ビッグ・スティック」――のデッキに立ち、「この地域には中国に関する懸念がたくさんある」と語った。

 「地域の多くの国が米国にやって来て、ここで我々が平和を保てるよう、一緒にもっと行動するよう要請している」。長官はこう述べ、南シナ海での「主に中国による極端な主張と軍事化」について警鐘を鳴らした。

 長官が話していた時、セオドア・ルーズベルトはスプラトリー(南沙)諸島の南150~200カイリの場所にいた。中国が人工島を建設した、南シナ海の中で領有権が争われている海域だ。

世界的なパワーバランスを決定づける競争

 空母訪問は、米国による10日間の利害の大きな軍事、外交活動の集大成だった。カーター長官はこの活動によって、中国が南シナ海での軍事プレゼンス拡大を思いとどまり、神経を尖らせる同盟国が西太平洋における米国のプレゼンスの永続性について安心感を持つようになることを期待している。

 だが、海軍の強さの誇示は、中国を挑発し、南シナ海における米中両国の強力な軍同士の熾烈な競争に火をつける恐れがある。

 シリアとイラクのイスラム過激派のしぶとさからウクライナ紛争に至るまで、米国はより差し迫った軍事的危機に直面しているものの、向こう20年間で、世界的なパワーバランスと米国が国際システムの中心的国家であり続ける力を何にも増して決定づけるのは、西太平洋で浮上した中国との競争だ。