「シェアリング・エコノミー」がもたらす変革と反発

スペイン・バルセロナにあるサグラダ・ファミリア前を走るタクシーと、スマートフォンに表示された「Uber」のアプリ(2014年12月9日撮影、資料写真)。(c)AFP/QUIQUE GARCIA〔AFPBB News

 政府は、行き詰まったアベノミクスの次の政策の1つとして、規制改革特区で自家用車に乗客を乗せる「ライドシェア」を認める方向で検討している。これは一種の「白タク」で、今のところ過疎地の観光客を運ぶような限定的なサービスに限って認めるようだが、世界から周回遅れだ。

 いま話題のUber(ウーバー)はライドシェアの走りで、スマートフォンで乗客の近くにいるドライバーを検索して乗るシステムだ。日本でも福岡市内で実験したが、国土交通省がストップをかけた。しかしこうしたシェアリングエコノミーの可能性は大きく、日本に適している。

「白タク」の会社が400億ドル調達した

 日本で白タクはほとんど見かけないが、世界では普通だ。私も昔、ニューヨークのケネディ空港で、違法な「リムジンサービス」に引っかかったことがある。空港から見えるロングアイランドのホテルまで遠回りされ、200ドルも取られた。こういう業者が多いので、タクシーはどこの国でも免許制になっている。

 運輸業でこういうトラブルが起こりやすいのは、業者が2度と同じ客を乗せないので、評判を気にする必要がないからだ。普通の商店なら「あの店は客をだます」という評判が立つと客が来なくなるので詐欺的な商売はしないが、屋台のように移動できる店舗は危ない。評判が落ちたら移動できるからだ。

 テクノロジーが発達すると、他人をだますことも容易になるが、そういう情報を共有することも可能になる。eBayやヤフーオークションではネット上で評判を共有して違反者を排除するので、違反は非常に少ない。ここではウェブサイトが、経済学でいう評判メカニズムの役割を果たしているのだ。