(英エコノミスト誌 2015年10月24日号)

大手上場企業の利益は、デフレと景気低迷の壁にぶつかっている。

大手上場企業が大きな壁にぶつかっている(写真はニューヨーク (c) Can Stock Photo

 利益が増えるという考えは、実業界に深く根付いている。経営者は、1株当たり利益(EPS)を押し上げると、報酬が増える。会社が縮小するかもしれないと認める経営者は、腰抜けと見なされ、外に連れ出されて撃たれる。金融機関は、企業のキャッシュフローが拡大し、債務返済が可能になると想定している。

 ウォール街のアナリストたちは馬鹿げた儀式で、EPSが2ケタのペースで増加すると皆で予想して大抵の年明けを迎える。

 実際の伸びは予想より低かったが、それでも素晴らしい成績を残し、過去30年間、米国の大手企業で構成されるS&P500株価指数で平均8%の増益を記録した。

 2007~08年の危機が世界経済を打ちのめした後でさえ、利益は順調に回復した。

停滞する産業界

 もしかしたらこれが、現実がまだ理解されていない理由かもしれない。産業界は停滞している、という現実である。S&P500株価指数を構成する企業の売上高と利益は2四半期連続で減少すると見られている。7~9月期には収益がともに前年同期比3~5%減少すると予想されている。利益のリセッションは珍しく、10年ごとに1度起きる程度だ。

 今回の非常に楽観的な反応は、一時的な要因――今回の場合は安いエネルギー価格とドル高――のせいにするというものだ。ドル高は海外収益の価値をドルに換算する段階で目減りさせる。

 悲しいかな、企業の怠慢の方がそれよりはるかに深刻で広く蔓延した問題だ。米国の大手上場企業の半分で、現在、利益が減少していることを考えてほしい(図1参照)。エネルギーとドルという要因を除いても、S&P500構成企業の利益の伸びは緩やかだ。多くの代表的企業――ウォルマートやIBM、ゼネラル・エレクトリック(GE)など――では、売上高が横ばいか減少している。

 ホテルからテレビに至る伝統的な産業は、ハイテク企業にシェアを食われていると不満を漏らしているが、アルファベット(以前はグーグルとして知られていた会社)のような企業が中年期に近づいているため、ハイテク業界の利益でさえ横ばいだ。