(2015年10月26日付 英FT.com)

2009年11月の日米合同演習で太平洋を航行する米駆逐艦ラッセン(写真:US Navy)

 米国海軍は27日早朝、南シナ海で航行の自由作戦*1を開始した。係争中の資源豊富な海域で中国の領有権主張に対抗する、利害の大きな試みの一環だ。

 米国の誘導ミサイル駆逐艦ラッセンが72マイル(約115キロ)の航行に乗り出し、2つの人工島――スービ(中国名・渚碧)礁およびミスチーフ(美済)礁――から12カイリ内に進入する。

 人工島はいずれも中国が、領有権が争われているスプラトリー(南沙)諸島内で建設したものだ。

 国防担当の米政府高官は、ラッセンは南シナ海で現地時間の午前6時40分ごろに任務を開始したと語った。

 この動きは、中国が自国の領土・領海と見なすものの侵害は一切許さないと警告していた中国政府を怒らせるだろう。中国のある司令官は今月、米国が作戦を始める準備をしていると本紙(英フィナンシャル・タイムズ)が報じた後、人民解放軍は中国の主権を侵害したいかなる外国勢力に対しても「真正面から打撃」を加えると語っていた。

2012年以降初の12カイリ内航行、中国の領有権主張にノー

 ラッセンによる作戦行動は、米国海軍が2012年以降、中国が領有権を主張する島の周辺12カイリ内を航行する初めてのケースとなる。狙いは、米国政府は南シナ海の人工島に対する領有権は一切認めないということを示すことにある。

 国際海洋法は、国が自然な島の周囲12カイリ内の領有権を主張することを認めているが、人間の建設活動によって海面上に持ち上げられた暗礁周辺の領海を主張することは認めていない。

 中国は過去2年間で、岩礁や環礁の周辺数千エーカーを浚渫(しゅんせつ)することで、南シナ海に5つの人工島を建設した。1つの人工島――ファイアリークロスと呼ばれる岩礁――では、アナリストらが軍用機を扱えると見る長さ3キロの滑走路を建設した。中国は海軍と沿岸警備隊を増強するに従い、南シナ海での巡視活動について強硬になっていった。南シナ海の海上交通路は世界の貿易のざっと30%を扱っている。

*1=領有権などを巡って争いが起きている海域に軍艦を派遣し、船舶の自由な航行を確保せよというメッセージを送る米軍の行動のこと