(2015年10月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

11月6日までの予定でNATOの大規模軍事演習「トライデント・ジャンクチャー」が始まった(写真:NATO)

 ロシアによるシリアへの軍事介入は、ロシア政府が中東を支配下に置く決意を新たにしたことを示している。

 だが、シリア内戦の当面の結果もさることながら、北大西洋条約機構(NATO)の制服組(武官)の幹部たちはこの介入を、西側諸国にもっと近くから挑もうというウラジーミル・プーチン大統領の大きな戦略の一環だと見ている。

 NATO背広組(文官)のある上級幹部によれば、地中海が「再び争いの場になっている」という。

 「ロシアが(シリアにおける)長期的なファクターの1つになることに我々は備えなければならない」。NATOのアレクサンダー・バーシュボウ事務次長は、西地中海で向こう2週間にわたって行われる2002年以来の大規模演習「トライデント・ジャンクチャー」を控えてこう語った。

 西側にとっては、反アサド勢力と戦う部隊をロシアが投入したことが当面の挑戦となるが、問題になる部隊をロシアがボスポラス海峡の南に恒常的に配置するとなれば、これは長期的な挑戦になる。

 「東地中海でのこの兵力増強とそれらの空軍基地の能力がもたらすさまざまな結果について考える(ことが我々には求められる)」とバーシュボウ氏は述べた。

地中海に戻ってきたロシア

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NATOはロシアのウラジーミル・プーチン大統領の戦略に目を光らせている〔AFPBB News

 冷戦終結以降、ロシアは地中海に大きなプレゼンスを保持していなかった。クリミアを母港とする黒海艦隊への投資も最近まで行っていなかったため、この戦域がロシアがらみの懸念の源泉になることは見過ごされるケースが多かった。

 そのロシアが新たにプレゼンスを得たことは、かなり問題になるかもしれない。NATOの南限すべてがロシアの挑発にさらされる可能性が生じるうえに、NATOによる軍事アセットの迅速かつ容易な展開を可能にする「航行の自由」が制限される恐れもあるからだ。