タイ、増える中国人観光客に「歓迎」と「批判」

急激な経済成長により中国人観光客が世界中を訪れるようになった。しかし中国の経済統計は信ぴょう性が疑われている。タイ北部チェンライの寺院を訪れる中国人観光客(手前、2015年4月7日撮影、資料写真)。(c)AFP/Christophe ARCHAMBAULT〔AFPBB News

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 中国当局は、GDPを算出する段階でどのように数字を操作するのだろうか。

 通常は各々の産業部門から集計された統計をもとに名目GDPが計算される。名目GDPとは物価の変動が考慮されていないGDPの規模と伸び率である。それを他の年度のGDPと比較するためには、GDPデフレータまたは消費者物価指数で割り引いて実質化する操作が必要である。例えば、名目GDPが9%伸びたとし、消費者物価指数は2%上昇したとする。名目GDPの伸び率の2ポイントは物価上昇分であり、それを取り除かなければならない。したがって、この場合の実質GDPは9-2=7%になる。

 統計局にとって、もっとも操作しやすい統計は消費者物価指数である。すなわち、消費者物価指数を実際の数字より低く抑えれば、実質GDPが高くなる。例えば消費者物価指数が3%だとしたら、それを2%にするだけでGDPは1ポイント高くなる。

消費者物価指数の構成ウェイトを調整

 では、具体的にどのように操作が行われているのか。