(2015年10月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 世界最大の自由貿易圏誕生へ、TPP大筋合意

環太平洋連携協定(TPP)交渉に臨む参加12カ国は今週、ようやく大筋合意に達した〔AFPBB News

 今週合意された環太平洋経済連携協定(TPP)を巡って秘密主義的な交渉を何年も続けてきた参加国は、その間ずっと、TPPの狙いは中国外しにあるとの指摘を受け流してきた。TPPの支持者らは、「中国以外は誰でも歓迎クラブ」ではないと大声で言い切ってきた。ひょっとしたら、その声は大きすぎたかもしれない。

 支持者たちの主張を信じることは難しかった。

 彼らは気が緩むと、経済ではなく地政学の観点からこの新しい協定について語ることが多かったからだ。

 リアルポリティーク(現実政治)の観点から見たTPPは、米国政府による軍事面での「アジアへのピボット」を経済面から補強するものであり、中国の復活に直面するアジアの同盟国に米国をさらに緊密に結びつける1つの手段だった。

 米国の外交問題評議会(CFR)から過日発表された話題の論文で、著者のロバート・ブラックウィル氏とアシュリー・テリス氏は、TPPは中国の台頭を押し返す「大戦略」の一環として考えるべきだと書いている。

 同盟国と特恵通商協定を結ぶことにより、米国政府は中国による国際貿易システムのただ乗りを阻止することに貢献できるようになり、著者の言う中国政府の「地理経済力」に対抗できるようになるというのだ。

オバマ大統領の発言に透けて見える真意

 確かに、TPPが自分のレガシー(功績)の見栄えを良くしてくれることに大きな期待をかけてきた米国のバラク・オバマ大統領は今週、「世界経済のルールを中国のような国々に書かせるわけにはいかない」という当てこすりを言わずにはいられなかった。

 まだ批准はこれからとはいえ、TPPの枠組みについて合意がなされた今、参加国は、中国の参加を排除しないというこれまでの発言通りに行動するべきだろう。各国は、参加しないかと中国に呼びかけるべきだ。中国はさらに一枚上手をいくことができるはずだ。まさにそれをやるために、参加国の真意を試し、交渉を始めればいいのだ。