(2015年10月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

豪国防相、次世代潜水艦の国内建造を示唆 日本に逆風

豪ウエスタンオーストラリア州沖で隊列を組む豪コリンズ級潜水艦3隻〔AFPBB News

 オーストラリアの新型潜水艦を建造する500億豪ドル(355億米ドル)規模の契約を巡る政治色を帯びた争いが白熱する中、受注を狙うフランス企業が、現地で数千人の雇用を生み出し、機微な軍事技術を共有することを誓った。

 DCNSオーストラリア法人のショーン・コステロ最高経営責任者(CEO)は先週、フランス政府とオーストラリア政府の戦時中の同盟関係に言及した冊子を用意し、アデレードの造船所労働者や経営幹部、政治家に向かって、DCNSは彼らのニーズを満たす絶好の立場にあると語った。

 さらに、同社が共有を申し出ているステルス技術は「フランスの潜水艦設計の『至宝』であり、他国に提供されたことは一度もない」と述べた。

大型契約を巡り白熱する受注合戦

 両国の現存する防衛関係を浮き彫りにするように、フランスのタレス・グループは5日、オーストラリア国防軍のために1000台の装甲車両を生産する15億豪ドル規模の契約を勝ち取った。

 コステロ氏が先週売り込みに励んでいた頃、ドイツの海軍トップはアデレードで国営造船会社ASCと会談し、ドイツ政府の競合プランを売り込んでいた。

 今週は日本の政府関係者と業界幹部らがシドニーのパシフィック・インターナショナル・マリーン・エキスポに飛び、オーストラリアの老朽化するコリンズ級潜水艦に取って代わる潜水艦8隻を設計・建造する日本の計画の利点を売り込む。

 巧みなロビー活動は契約の価値を浮き彫りにする。建造で200億豪ドル、メンテナンスで300億豪ドルに上る大型プログラムなのだ。こうした動きは、アデレードで数千人の雇用を支える一方で、オーストラリアを外国の大国との防衛関係に縛りつける可能性のあるプロセスの政治化を反映している。

 日本で潜水艦を建造するという日本政府の提案を支持したことは、トニー・アボット氏の失脚の一因となった。同氏は先月、同じオーストラリア自由党のマルコム・ターンブル氏に首相の座を奪われた。