(2015年10月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

VW排ガス不正の波紋、企業城下町ボルフスブルクにも

ドイツ西部ヴォルフスブルクにあるフォルクスワーゲン(VW)本社の正門〔AFPBB News

 大半のスキャンダルは収束する。一部のスキャンダルは炸裂する。フォルクスワーゲン(VW)は後者の類になるだろう。VWの排ガス試験での不正から生じる罰金と損害は、合計すると軽く1000億ユーロを超える可能性がある。経済損失の総額はその数倍に上り、ドイツがギリシャのユーロ圏離脱から被る可能性のあった被害額を上回る。

 それ以上に重要なことは、VWのスキャンダルがドイツの経済モデルを狂わす可能性を秘めていることだ。

 ドイツの経済モデルは、ちょうど自動車産業がディーゼル技術に過度に依存してきたように、自動車産業に過度に依存してきたからだ。

 一方では、ドイツ政府が自動車業界を甘やかし、国外で業界の利益を代表している。「VW法」は事実上、敵対的買収から会社を守っている。そして、2000年代の労働改革を策定したのは、元VW取締役のペーター・ハルツ氏だ。

 その見返りに、業界は地域の雇用の安定に貢献している。また、監査役会(日本の取締役会に相当)の議決の規則は、労働組合の明確な同意がある場合に限って、生産をドイツ国外へ移転できる仕組みになっている。言い換えると、移転できないということだ。

VWの不祥事の経済的インパクト

 マクロ経済的なリスク管理の観点からすると、これは愚かな戦略であり、金融業界に対する英国の過剰依存と似ている。このような戦略はうまくいくが、その後、全く機能しなくなる。

 より広範な経済的インパクトを測るためには、業界の規模感を知る必要がある。自動車業界は公式統計が示唆する規模よりずっと大きい。公式統計は各業界の相互依存性をとらえていないからだ。