米特殊部隊「シールズ」、女性にも門戸解放へ 報道

米特殊部隊は女性も門戸を開いた。写真は、米ジョージア州フォートベニングで、陸軍の指揮官養成課程レンジャー・スクールに参加する男女の兵士ら〔AFPBB News

 知らないことほど恐ろしいものはないと思える事態が世界で進行している。

 実は、米国のバラク・オバマ政権はジョージ・ブッシュ前政権よりもはるかに多くの米特殊作戦軍(以下SOCOM:いわゆる特殊部隊)の隊員を、世界中に派遣していることが分かった。

 複数の情報を総合すると、今年だけでもSOCOMはすでに世界135か国に隊員を送り込み、派遣している隊員数は1万1000人に達している。

 SOCOMは特殊部隊を統合する総合軍で、配下に陸軍、海軍、空軍、海兵隊の特殊作戦部隊が入っている。よく耳にする陸軍デルタフォースや海軍シールズ(SEALs)もSOCOMの指揮下にある。

2倍に増員された特殊部隊

 特殊部隊の活発化は隊員数の推移を見ても分かる。国外に派遣されている1万1000人を含めた総隊員数は7万人に達する。2001年には約3万3000人だったので、ほぼ2倍になった。

 オバマ大統領がなぜ特殊部隊に力を注いでいるのだろうか。過去数年、国防総省(ペンタゴン)の規模と予算は縮小傾向にあり、表向きの国防方針と矛盾している。

 オバマ大統領はこれまで「米国は世界の警察官ではない」というフレーズをたびたび使ってきた。例えば2013年9月のテレビ演説では、警察官としての役割を否定し、内戦の激化するシリアには大規模な地上軍(陸軍)は派遣しないと述べた。

 その理由の1つは、ブッシュ前政権が始めた対テロ戦争で多数の米兵を中東に派遣しながら、収束できていない現実がある。テロ組織を壊滅することが容易でないばかりか、戦費拡大と米兵の犠牲が内外から批判されてきたのだ。

 すでに世界の警察官の立場を降りたと言える数字もある。2001年から始まった対テロ戦争で、米国は累計で約1.5兆ドル(約180兆円)もの国防予算を使った。