(2015年9月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

「独語-アラビア語」のグーグル翻訳が利用急増、移民流入で

大方のドイツ国民はメルケル首相の決断を歓迎したが、難民の大量流入の現実に困惑している(写真はベルリンで難民申請の順番を待つ亡命希望者)〔AFPBB News

 欧州は同時進行する5つの危機と奮闘している。いずれも、異なる発展段階にある不測のショックだ。シリアからの難民、ユーロ圏周縁国の債務、世界的な景気減速、ロシアのクリミア併合とその余波、そしてフォルクスワーゲン(VW)の犯罪と不正行為である。

 カオス理論の人気の比喩は、世界の別の地域で竜巻を引き起こす蝶の羽ばたきだ。

 欧州の罪のない危機の引き金は、シリアからの難民にドイツを開放することにしたアンゲラ・メルケル首相の道義的な決断だった。

 大半のドイツ国民は熱狂的にこの決断を歓迎したが、首相は来るべき事態に向けて、政治的、物理的に自国と他の欧州諸国を備えなかった。

難民受け入れを決めたドイツの英断の代償

 ベルリンとハンブルクでは、住宅事情があまりに絶望的なため、当局が人が住んでいない私有アパートを接収する法律を準備しており、ハンブルクでは商業用不動産も対象になっている。

 地方政府が難民に住まいを提供するために、公営住宅の入居者の賃貸契約を打ち切った事例も複数ある。公的部門がこのように振る舞う時、外国人嫌いの気運はものの数ナノ秒で頭をもたげる。

 ドイツでは、メルケル氏率いるキリスト教民主同盟(CDU)の姉妹政党でバイエルン地方の保守派の地域政党・キリスト教社会同盟(CSU)党首、ホルスト・ゼーホーファー氏以上に素早く国民のムードの変化を感じ取る人はいない。

 同氏は、ドイツは長期にわたり、メルケル氏の政策がもたらす結果の代償を払うことになると言う。かつて重力に逆らうほど高かったメルケル首相の支持率は最近、低下した。