(英エコノミスト誌 2015年9月26日号)

英国は無自覚なまま中国との距離を急速に縮めている。

英財務相、「ギリシャ金融支援への参加に反対」 英紙報道

中国で国家元首級の扱いを受けたジョージ・オズボーン財務相〔AFPBB News

 北京のラッシュアワーの時間帯に、自動車8台から成る車列が渋滞をかき分けて作られた空き車線を猛スピードで進んでいく。パトカーのライトがスモッグの中で点滅する。各交差点では警察官が警備にあたり、腕を上げて一般車両を押しとどめている。

 車列の一行は、ほとんどブレーキを踏むこともなく、北京の古い街並みである胡同や高級アパレルショップを素通りし、大渋滞の高速道路の上を通過し、毛沢東主席(と1本の街灯に6台ずつ取り付けられている監視カメラ)が見守る天安門広場を通り抜けた。

 9月20日、5日間の日程で中国に到着した英国のジョージ・オズボーン財務相は、このような特別待遇を受けて、世界の舞台に立った。

 通常、中国当局がこのような交通管制を行う対象は中国共産党中央政治局の委員か、外国の国家元首に限られている。しかし、今回中国を訪れたあか抜けた風貌の英国財務相は、単なる財務大臣ではない。オズボーン財務相はデビッド・キャメロン英首相の側近中の側近であり、事実上の副首相かつ外務相で、英国の欧州連合(EU)との関係見直しに関しては再交渉責任者の任にある。

 過去3年にわたり、オズボーン財務相は英国経済を活性化させ、保守党を選挙で選ばれる政党とし、かつては自らを忌み嫌っていた有権者の間でも支持を集める(少なくとも容認させる)ことに成功した。同財務相がキャメロン首相の後継者となる可能性は、今までになく高まっている。

オズボーン財務相が中国で厚遇された理由

 この状況は中国にも歓迎されている。というのも、オズボーン財務相は西側で同等の地位にある政治家の中でも、恐らく最も中国寄りの人物だからだ。

 財務相が中国の経済発展に興奮を覚えているのは明らかだ。英国大使の公邸で当コラム筆者のインタビューに応じたオズボーン財務相は、1990年代初頭に中国をバックパッカーとして旅した際の体験を生き生きと振り返った。「堅苦しくて冴えない」街だった当時の北京と、活気がみなぎる巨大都市となった今の街を対比させ、流行の最先端を行くハイテク街は「サンフランシスコと見間違えるほどだ」とも述べた。