(2015年9月21日付 FT.com)

独VW、排ガス規制回避するソフト搭載 米当局が捜査

フォルクスワーゲン(VW)は排ガス試験の不正問題で、対象車両が世界で1100万台に上り、対策費用として65億ユーロを特別損失に計上することを発表している〔AFPBB News

 「あの古いディーゼルの現実はもう当てはまらない」。フォルクスワーゲン(VW)は、かつて「臭く、煙たく、鈍かった」燃料で動く自動車を米国で売り込むマーケティング策で、こう謳っている。ところが今、ディーゼル車の現実を変えようとするVWの取り組みには、連邦政府の試験で不正を働くことが含まれていた可能性があることが分かった。

 21日月曜日のVW株の急落は、VWにかけられた嫌疑の深刻さを反映している。

 ソフトウエアを利用して「ゴルフ」や「ジェッタ」といった車のエンジンが実際より環境に優しく見えるようにし、米環境保護局(EPA)を意図的に欺いた疑いだ。

世界一を目指すVWを襲った危機

 VWのマルティン・ヴィンターコーン社長が公に「顧客と大衆の信頼を裏切った」ことを認めたという事実だけでも、2018年までにトヨタ自動車を抜いて世界最大の自動車メーカーになることを目指していた会社にとって、このスキャンダルを深刻な危機に変えるのに十分だ。

 ヴィンターコーン氏は今春、同氏の地位を不安定にしようとするフェルディナント・ピエヒ前会長の揺さぶり工作に勝ったが、社長の座が再び危うくなった。VWの監査役会は25日に会議を開き、ヴィンターコーン氏の任期を2018年まで延長することを決める予定だったが、危機に対応しなければならなくなった。

 規制当局と政府を欺くことは、企業が行い得る最も重大な行為の1つだ。その一例がバークレイズ、UBS、RBSなどの大手銀行のトレーダーによるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作で、この事件は刑事罰と35億ドルを超す罰金および和解金につながった。

 VWは今、数十億単位の罰金のみならず、刑事罰の可能性にも直面している。外部による調査を発表し、「いかなる社内ルール、法律の違反」も容赦しないと誓ったヴィンターコーン氏は、圧力にさらされているVW経営幹部の中で最高位にある人物だ。