減産見送りでOPEC内格差、最大打撃はベネズエラ

ベネズエラはOPEC非加盟国を含む全産油国の首脳会議の開催を呼びかけている。ベネズエラ国営石油会社ペトロレオスがオリノコ川流域に建設した同国初の石油プラットフォーム(2011年7月28日撮影、資料写真)。(c)AFP/Ramon SAHMKOW〔AFPBB News

 9月16日、シェール企業大手のサムソン・リソーシズが米連邦破産法第11条(日本の民事再生に相当)の適用を申請した。以前のレポート(「天津大爆発でさらに強まる原油価格の下押し圧力」)で「サムソン・リソーシズが9月15日までに破産法の申請を行う予定である」と書いたが、予想通りの結果となった。

 サムソン・リソーシズが抱える負債総額は42億ドル。今年3月のクイックシルバー・リソーシズ(負債総額23.5億ドル)に続く大型の倒産である。全米第2位の天然ガス生産企業であるチェサピーク・エナジーも今年7月以降配当を停止しており、「倒産も間近ではないか」との噂が広まっている。1986年の逆オイルショック後、米国では50%以上の原油生産企業が倒産した。今後、何パーセントのシェール企業が生き残るだろうか。

ジャンク債市場に飛び込んできた「巨大なクジラ」

 シェール企業の大量倒産で最も打撃を受けるのはジャンク債市場である。世界のジャンク債市場はリーマン・ショック以降の低金利時代の下、高い利回りを求める投資家の間で人気を呼び、その規模は現在2兆ドルにまで拡大したと言われている。しかしジャンク債市場はリスク性が高いため、ひとたび市場にストレスがかかると流動性が蒸発し、市場関係者の間でパニックが起きやすくなる。米国の利上げの動きと中国経済の急減速により、世界の金融市場全体のセンチメントが悪化しつつある。ジャンク債はその影響を最初に蒙る市場の1つである。

 既に逼迫感が高まっていたジャンク債市場だが、よりにもよって「巨大なクジラ」が飛び込んできた。米格付け会社スタンダート・アンド・プアーズがブラジル石油公社(「ペトロブラス」)の信用格付けをジャンク級に引き下げたため、同社が発行する社債(発行残高560億ドル)がジャンク債市場になだれ込んできたのだ。