ニセコ町から見た羊蹄山(ウィキペディアより)

 日本では6年ぶり待望の9月の最大9連休(9月19日から27日)「シルバーウィーク」中の「人気急上昇エリアランキング」がこのほど発表され、海外旅行は前年同期比で99%増の伸び率で、人気ランキング1位にマレーシアが輝いた。

 以下、2位タイ、3位インドネシア、4位台湾、5位香港と上位5位までをアジア勢が独占。燃油サーチャージの値下がりや、リーズナブルで贅沢なリゾート旅行を満喫したいという意向が背景にあるようで「日本からアジア」への人気を反映した格好だ。

 一方、アジアから日本への訪日観光客(インバウンド)も急増し、日本列島ではインバウンド旋風がさらに強まる猛烈な勢いを見せている。

 日本政府観光局によると(8月19日発表)、7月の訪日旅客数は単月としては過去最高の192万人を記録したうえ、1月から7月までの累計も早くも1100万人を突破した。政府は通年で1800万人を見込んでいるようである。

今年中にも2000万人達成か

 この調子だと2020年の東京オリンピックまでに目標とする2000万人の大台も、大幅前倒しで今年中にも達成可能な勢いだ。

 その訪日客の約8割はアジア域内からで、1月から7月の累計(前年同期比)では、中国の114%増をトップに、韓国、台湾、香港、タイ、マレーシアなどがいずれも2ケタ台増を記録した。

 「成長著しいアジア圏の訪日客は今後も増加するだろう」(JTB)と予測されるなか、彼らが2014年に日本滞在中使った旅行消費額も2兆278億円(平成27年度版観光白書)と、前年比で43%増加している。

 日本の個人消費は、2014年で推計293兆円規模で、外国人の旅行消費額は、名目国内総生産(GDP)の0.4%程度に達し、「観光業界への波及効果も含めると、外国客が日本のGDPを底上げする経済効果は3兆円程度」(民間シンクタンク)との推計もある。

 さらに消費額は今後、4兆円規模に倍増すると見られる。

 その凄まじい購買力は「忍の強い『大阪のおばちゃん』以上に、凄腕で値引きを強要する」「中国ではプレミアム商品で高値で転売できる日本製の粉ミルクから土瓶、医薬品(コンドーム含む)まで様々な『Made in Japan』を爆買いする」といった批判がある一方で、「訪日景気」が少子高齢で窄む日本経済を下支えする現実味が強まっていることは否定できないだろう。