衆議院本会議、安保法案を可決 国民に怒り広がる

東京の国会議事堂前で、衆議院平和安全法制特別委員会が可決した安全保障関連法案に抗議するデモに参加した市民団体のメンバー(2015年7月15日撮影)。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO〔AFPBB News

 安保法制の可決成立がいよいよ迫り議論が白熱しています。しかし、賛成派も反対派も安保法制について“過大評価”をしているようです。

 実のところ、安保法制は「劇的」に抑止力を高めるものでもありませんし、米国の戦争に巻き込まれるのは昔からの話でしかないと評価すべきでしょう。以下では、今回の安保法制にまつわる議論における3つの誤解について論じたいと思います。

【誤解1】安保法制の内容は革新的な内容である

[現実] 実際は今までの対米支援の延長線上でしかない

 この誤解を信じている点については賛成派も反対派も変わりはないでしょう。賛成派は「抑止力が高まる」という点で革新的であり、反対派は「憲法違反である」点が致命的な大問題だと非難しています。

 しかし、こうした認識は間違っています。実のところ、今回の改正は1990年代以降に日本が積み重ねてきた日本の対米協力の総決算と言うべきものだからです。要するに特措法(特別措置法)の一般化でしかないのです。

 今回の安保法制で何が変わるのかというと、イラク戦争後の復興支援活動や、9.11後に実施された給油支援などが、PKO法の改正と新たに新設される「国際平和支援法」により国会承認があればできるようになる、ということです。