(2015年9月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中国人観光客の買い物リストの上位にオカモトのコンドームが入っているという

 オカモトの本社は、東京の裏通りの乱雑な灰色のビルの中にある。正面の窓には、とうに忘れ去られた公衆衛生キャンペーンのポスターが掲げられている。展示ケースには、さまざまな靴や偽の冷凍魚、ひと巻きのラップが飾られている。そして創業者のブロンズの胸像が、人のいない受付カウンターの近くにぬっと立っている。

 手短に言えば、オカモトが世界一級の材料技術を持ち、株価が22年ぶりの高値をつけ、大変革をもたらすマーケティング策を進めており、アジア全域でより良いセックスと同義語となっているブランド名を持つ10億ドル企業(株式時価総額)の心臓部であることを示唆するものは、ほとんどない。

 だが、過去8週間で、それも世界市場の騒乱に抗って、オカモトは投資家にとって最もホットな銘柄の1つになった。

 日本の市場支配的なコンドームメーカーであるオカモトの株価は、10年以上閉じ込められていたボックス圏を抜け出し、120%以上高騰した。自社製品に「メード・イン・ジャパン」のスタンプが押されていることでこれほど大きな恩恵を受けた企業はほとんどないと同社自身が認めている。

買い物リストの上位に入るオカモト0.03

 「まるで予想外のことだった」。オカモトの社長で、ブロンズ像で称えられている実業家の息子にあたる岡本良幸氏はこう話す。「私に言えることは、当社は落ち着いてこの状況を見ているということだ」

 オカモト株の急騰は中国によって引き起こされた。具体的に言えば、2015年に入ってからこれまでに日本を訪れ、インバウンド観光客の最大の構成メンバーとして韓国人と台湾人を抜いた280万人の中国人である。

 中国人が国内のコンドームブランドに抱く信頼感は低く、オカモトが最も有名なブランドの1つに数えられる外国ブランドは、とてつもない規模で模造されている。

 東京のドラッグストアに押し寄せる中国人の買い物客たちは、有名な「オカモト0.03」(ミリメートルで表した厚さに由来するネーミング)を日本で買うことは、それが本物であることを保証してくれると言う。